経済

猛暑克服の切り札?この夏も扇風機が注目されるワケ

家電ライター 藤山哲人
 7月上旬から各地で猛暑日を記録し、今年の夏は例年にも増して冷房機器に注目が集まる。中でも扇風機は近年のエコブームもあって人気は堅調。メーカー各社がこぞって新製品を投入している。ポイントは、人に優しく、自然に近い「風」だ。家電に詳しいフリーライターの藤山哲人さんが解説する。

「DC」が扇風機を変えた

  • 量販店の店頭にはメーカー各社が工夫をこらした扇風機が並ぶ(東京・新宿のビックカメラ新宿西口店で)
    量販店の店頭にはメーカー各社が工夫をこらした扇風機が並ぶ(東京・新宿のビックカメラ新宿西口店で)

 換気扇のような羽根が「ブーン」と大きな音を立てて回り、風量調整は「強・中・弱」の3段階程度。昔ながらの扇風機のイメージはそんなところだろう。しかし、最近の扇風機は全く違う。「DC化」によって大きく進化しているのだ。

 DCとは直流のこと。かつての扇風機はAC(交流)によるものが主流だったが、ここ5年ほどでDCが爆発的に増えた。モーターの回転速度を制御しやすいため、風量の細やなか調整が可能になった。耳障りな回転音や、メモ用紙などが吹き飛ばされる煩わしさとは無縁の「やさしい風」、「自然な風」を送れるようになったのだ。

 家電量販店などの売り場に行けば、両者の違いを実感することができる。

 まずは価格だ。価格が比較的安く、基本的な送風機能だけを備えたAC扇風機と、値は張るものの高付加価値・高機能なDC扇風機という二つの製品群が売り場を二分している。

  • 昔ながらの扇風機の前で声を出すと、音が震えて聞こえた
    昔ながらの扇風機の前で声を出すと、音が震えて聞こえた

 性能の違いも顕著だ。AC扇風機は、船のスクリューのような3、4枚の羽根を回転させて風を起こす。この風は旋回流という「うねり」を伴った空気の塊を生み出し、それが涼もうとする人の肌に連続してぶつかることになる。自然の風の感触とは全く違うため、当たり続けるうちに疲れや不快感を覚える人もいる。

 子どものころ、扇風機の前で「あ~」と声を発すると、音が震えて「宇宙人の声」のようになる、といって遊んだことはないだろうか。あれは扇風機の羽根に押し出された空気の塊がそうさせていたのだ。

  • 羽根が小さく、数が多いDC扇風機(東京・新宿のビックカメラ新宿西口店で)
    羽根が小さく、数が多いDC扇風機(東京・新宿のビックカメラ新宿西口店で)

 一方、DC扇風機の多くは羽根を小さくし、数を増やすことで空気の塊を細かくしている。家電売り場では、価格と一緒に羽根の枚数を表示して優位性をアピールする例もある。ACと同じ旋回流ではあっても、少しでも自然の風に近づける工夫をしているのだ。

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