経済

「生き残り」に知恵絞る青果市場~神奈川、秋田の挑戦

ジャーナリスト 山口亮子

消費量減少に歯止め?~秋田の取り組み

  • 秋田市公設地方卸売市場の今年の初せり。「秋印秋田中央青果」社員の威勢のいい声が響いていた。
    秋田市公設地方卸売市場の今年の初せり。「秋印秋田中央青果」社員の威勢のいい声が響いていた。

 15年、秋田市公設地方卸売市場の青果卸業者と、卸業者と小売店を仲介する「仲卸業者」が、全国で初めて卸と仲卸の垣根を越え、合弁会社「あきたベジフルサポート」を設立した。

 苦しい経営を強いられている卸と仲卸が、将来的な経営統合も見据えて合弁会社を設立した例として注目を集めた。卸と仲卸が協力し、市場のあり方を変革する試みで、こちらも視察者が引きも切らないという。

 秋田県は、「人口減少率」と「高齢化率」がともに全国1位だ。県内で消費される青果物の量は年々、減少傾向にある。秋田市場青果部の取扱量はピークの1982年度には9万8572トンだったが、2016年度は4万6017トンと半分以下になった。

 「このまま経営を続けていては将来、市場の運営が立ち行かなくなるかもしれない」。危機感を共有した卸業者の「秋印秋田中央青果」(秋印)と仲卸業者の「松紀」、「上伸青果」の3社が地元の地方銀行である北都銀行から出資を受け、合弁会社を設立した。

 3社を合わせた市場占有率は7割弱。「それぞれで商売を続けているより、同じグループとして結束した方が信用力が高まり、取扱量が一層増えるのではないか。それがひいては市場全体の活性化につながる」との読みがあったという。

 さらに、市場を通すと、多くの業者を介するため鮮度が落ちるという問題の解決も狙う。従来の市場を通した流通では産地から、卸、仲卸を経て、小売店に置かれ、消費者に届く。いくつもの業者が介在し、多層構造になっている部分をまとめ、産地と消費者の距離を近づける役割を担いたいという。

 当面3社は存続したまま、互いが持つ青果物の加工などのノウハウや、取引先などを共有しながら、ベジフルサポートを通じて業績の改善や市場の活性化を目指す。さらに、農家の支援策として。産地と消費者を結びつけるプロモーション活動も積極的に展開している。

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2017年7月28日05:20 Copyright © The Yomiuri Shimbun