健康

油断大敵!熱中症、今そこにある危険は?

帝京大学医学部教授 三宅康史
 スポーツやレジャーに出かける機会が増えるこの時期、気になるのが熱中症のリスクだ。酷暑の炎天下だけでなく、屋内にいても、就寝中でも、注意が必要と言われている。熱中症の危険度はどれほどなのか。熱中症から身を守る方法を帝京大医学部教授で、同付属病院高度救命救急センターの三宅康史センター長が解説する。

熱中症を引き起こす3つの因子

 同じ環境下でも、熱中症になる人とならない人がいる。

 その理由は、「環境」「からだ」「行動」の3つの危険因子が複雑に重なり、発症リスクが変化するからである(図)。

 例えば、気温が低くても湿度が高く(環境)、時間が無くて朝ご飯を食べずに(からだ)、慣れない室内スポーツを長く頑張る(行動)ことで発症リスクはぐっと高くなる。

 熱中症は、ふるえ、寒気、頭痛、腹痛、下痢、嘔吐(おうと)などの夏風邪や食中毒に似た症状のほか、手のしびれなどを訴えるケースもある。ただ、症状を問わず、体調不良の前提として、暑い環境にいる、あるいは長くいた後であれば、熱中症の可能性がある。

 日本救急医学会「熱中症に関する委員会」が、2006年から2年ごとに行ってきた全国調査「Heatstroke STUDY」によると、熱中症の死亡例は搬送初日に集中している。一方、快方に向かう場合は、たいてい入院翌日の2日目には退院できる状態になることが分かっている。

 つまり、熱中症は、ある重症度を超えると、集中治療によっても救命が不可能となる限界点が存在する。しかし、それまでに治療を受けることができれば、翌日には退院可能な状態にまで回復する特徴がある。結果的に、翌日にケロッと良くなったことで,他の病気ではなく熱中症だったと判断できることも多い。

発症時間と発生場所の謎

 「熱中症は夜も危険」とよく言われる。それは、夜間もヒートアイランドの影響で、気温・室温が下がらず、熱中症の3分の1近くが夜に発症しているというデータが根拠となっている。

 ところが、この「夜の熱中症」というのは、実は医療機関を受診した時間帯が夜であったり、暑い環境にいたのは昼だったが、症状に表れたのが夜であったり(いわゆる時間差熱中症)というケースも多い。

 日本救急医学会が厚生労働省と共同で調査している「熱中症入院患者等即時発生情報」を見ても、夜間の発症はわずか12%にとどまっている。

 昼間暑い環境で元気だった人が、夜間に、それも寝ている間に熱中症になるのは、例えば酒を飲んで帰宅し、閉め切った部屋でエアコンを付けずに寝入ってしまったケースなど特殊な状況が考えられる。

 発生場所に、居間と寝室が多いと言われるのは、そこが危険というわけではなく、屋内にいる人はたいていその2か所で生活していることを示しているに過ぎない。寝室は、在宅医療を受けている寝たきりの高齢者の生活の場で、熱中症弱者も多くいるからである。

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