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介護職場に学ぶ「辞めさせない」戦略とは

リクルートキャリア 藤井薫、繁内優志
 期待の若手社員が突然、会社を辞めてしまう。夢を語っていた新人が、仕事内容に失望して他業界に転出してしまう――。こうしたケースでは、他の社員や職員に動揺が広がり、会社の業務に大きな支障をきたすことになりかねない。「人材の定着」は今や、企業・団体の最大関心事の一つだ。就職支援サービス「リクルートキャリア(本社・東京)」の藤井薫氏(転職サイト「リクナビNEXT」編集長)と、同社で介護業界を対象にした人材定着支援を行っている繁内優志氏(HELPMAN JAPAN編集人)が、「いかに定着を図るか」という視点で人材戦略を論じる。

「人材定着」は人口減少時代の大命題

  • 離職率が高いとされる介護業界の現場は人材戦略の最先端でもある(写真はイメージ)
    離職率が高いとされる介護業界の現場は人材戦略の最先端でもある(写真はイメージ)

 少子高齢化によって労働人口が減少していく、いわゆる「人口オーナス期」に突入した日本社会。優秀な人材の「採用」と同様に、その「定着」をいかに図るかが企業の人事戦略の大命題になっている。社員や職員が生き生きと働ける環境をいかに整備するか。彼らが現場で学んだ知識を活用して、いかに組織の競争力を向上させていくのか。こうした課題が今、多くの経営者らに突き付けられている。

 とりわけ、今や国内総生産(GDP)の約7割を占めるサービス業では、人材の定着による生産性向上が喫緊の課題である。質の高い「おもてなし」などは、人材定着による継続的な錬磨なくして成し得ない。「ヒトをとっては辞めていく」企業や業界には、未来の発展はないのである。

 そんな我が国の産業界において、人材戦略の転換をいち早く取り入れているのが「介護業界」だ。「仕事がきつい」といったイメージが強く、離職率が高いとされる介護業界の現場では、職員の離職を食い止めるための様々な取り組みが行われている。その創意工夫は、他の業界にとっても学ぶところが多い。

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2017年8月9日07:50 Copyright © The Yomiuri Shimbun