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「フェイクニュース」問題、国内外で対策進む

ライター・翻訳家 耳塚佳代
 インターネットの負の側面である「フェイク(偽)ニュース」の流布。ツイッターやフェイスブックなど、巨大なソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の「情報拡散力」で、各国の政治を脅かすほどの事態にも発展した。日本ではアクセス数を稼ぐため事実ではないニュースを配信したインターネットメディアが問題となった。こうした中、海外では大手メディアやフェイスブックなどの巨大IT(情報技術)企業、専門家らによる研究や対策が進んでおり、日本でも有志らが動き始めている。自らもフェイクニュースの研究に取り組む耳塚佳代さんが解説する。

米大統領選で「顕在化」

  • 米大統領選でも数々のフェイクニュースが拡散された
    米大統領選でも数々のフェイクニュースが拡散された

 フェイクニュースという言葉が注目されたきっかけは、昨年の米大統領選だった。「ローマ法王がトランプ氏支持を表明」「(対立候補の)クリントン氏がテロ組織に武器を売却した」といった発信元不明のニュースがフェイスブックなどで拡散。クリントン氏側に不利な情報が多く出回り、トランプ大統領の誕生につながったとされている。今年5月の仏大統領選でも候補者に関するフェイクニュースがばらまかれるなど、欧米では深刻な問題となっている。

 仏大統領選では、大きな争点となった「移民問題」に関するフェイクニュースが飛び交った。「イスラム教徒の高校生の44%が過激派」とする記事や「外国人がフランスで病院スタッフを暴行した」とされる動画など、移民に対する不安を(あお)るようなコンテンツが出回り、SNSで多くの人に拡散された。候補者についても「(最終的に当選した)マクロン氏が家族手当を廃止しようとしている」「アルカイダがマクロン氏を支持している」といった根拠のない情報が広まり、混乱を招いた。

日本での「フェイクニュース」は?

 では、日本ではどんな影響があったのだろうか。国内では今のところ、政治や経済を揺るがすような事態には至っていないようではある。しかし、インターネット上には様々なデマ情報や不正確な記事が(あふ)れている。

 日本では昨年、ネットサービス大手のディー・エヌ・エー(DeNA)が運営する情報サイトで、ほかのサイトの記事の無断転用や記事自体の誤りが指摘され、同社が運営していた10のサイトが休止に追い込まれた。「ページビュー」(PV=サイトを見られた回数)を上げ広告費を稼ぐため、質の悪い記事を「大量生産」していたのだ。

 欧米のケースとは質は異なるが、こうした不正確な情報もフェイクニュースと言えそうだ。特に、病気や災害に関する情報などは、気になることがあったらまずはスマートフォンで調べるという人も多い。フェイクニュースは日本にとっても「対岸の火事」ではないのだ。

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