スポーツ

W杯出場を引き寄せた変幻自在のハリル采配とは

読売新聞編集委員 川島健司
 サッカー日本代表は、8月31日に埼玉スタジアムで行われた2018年ワールドカップ(W杯)ロシア大会アジア最終予選B組の豪州戦に2―0で快勝、6大会連続6度目のW杯本大会出場を決めた。バヒド・ハリルホジッチ監督(65)にとっては、就任28試合目で初めて自ら「ベストゲーム」というほどの会心の試合運びだった。アウェーとホーム、豪州戦の2試合で見せたハリル采配を分析する。

17歳でも18歳でも出場に値するなら使う

  • W杯出場を決めた豪州戦で2点目のゴールを挙げた井手口。左後方は山口(2017年8月31日、宇那木健一撮影)。
    W杯出場を決めた豪州戦で2点目のゴールを挙げた井手口。左後方は山口(2017年8月31日、宇那木健一撮影)。

 この試合、日本の先発11人を予想するのは非常に難しかった。

 欧州のクラブに所属する選手はシーズンが開幕したばかりで、まだベストコンディションとは言いがたい。主将のMF長谷部誠(独・フランクフルト)のように、故障が完治していない選手もいる。国内組は真夏のJリーグの連戦で疲弊している。しかも、全員が顔をそろえたのは豪州戦の2日前と、準備期間は極めて限られていた。

 ハリルホジッチ監督は「今まで一番困難な状況」だとして、27人もの招集に踏み切った。その中から選んだ先発メンバーに、16年リオデジャネイロ五輪出場の選手が2人いた。22歳のFW浅野拓磨(独・シュツットガルト)と、21歳のMF井手口陽介(G大阪)だ。MF本田圭佑(メキシコ・パチューカ)、MF香川真司(独・ドルトムント)といったこれまでの主力をベンチに置いての起用は、勇気が要ったはずだ。

 ただ、指揮官は8月24日の代表発表の際、「日本では若手を信頼して使うということが少し欠けているかもしれないが、私は17歳でも18歳でも出場に値するなら使う」と予言していた。

 試合は41分、左からのDF長友佑都(イタリア・インテルミラノ)のクロスに、相手DFラインの裏へ巧みに抜け出した浅野が合わせて日本が先制。82分には相手陣内でのショートカウンターから、井手口が強烈なミドルシュートを突き刺して勝利を決定づけた。若い2人が抜てきに見事に応えた。まさに監督冥利につきる試合だったろう。

【あわせて読みたい】
原点は福島…被災バネに成長したヤングなでしこ
9月24日に引退試合…ロッテ・井口がいま思うこと