生活

身近な人を亡くしたら…【臨終から葬儀編】

読売新聞メディア局編集部 河合良昭

すぐに火葬はできない

 その他、すぐにやらなければならない手続きに死亡届と火葬許可申請書の提出がある。これは葬儀社がやってくれることが多く、私の場合も葬儀社に依頼した。

 葬儀の日程を左右するのは火葬の日取りだ。公営の火葬場は数が限られており、依頼した葬儀社によると、火葬ができるのは平均で死亡してから5日後、正月や冬場は10日程度は待たなければならないとの説明を受けた。実際、父の場合も5日後だった。

 日程が決まると、カタログを見ながら祭壇、お香典をいただいた人への返礼品、通夜や告別式の食事などを決めていく。実は、頼んだ葬儀社は実家の隣にあり、亡くなった先代の社長が父の幼馴染(なじ)みで、現在の社長は私の幼馴染みと、家族ぐるみで付き合いがあった。親しくしていただけあって、こちらの事情を理解してくれた上で親身に対応してくれるなど、私のケースは恵まれていたと思う。見積書をしっかりと示しながら細かい点まで説明してくれて、高額にならないようにとの配慮からか、余計なオプションの売り込みもなかった。しかし、中には注意が必要な業者もいるという。

葬儀は見積書が大事

  • 写真はイメージです
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 司法書士の児島充さんによると、葬儀社との間でトラブルになるのは(1)強引な勧誘、(2)不明瞭な請求、(3)説明のない追加請求、(4)高額請求、(5)説明とサービスの違い――などが多いという。

 私が知人の葬儀社から見せたもらった宣伝チラシを見ても、総額表示は安い値段だったが、見落としてしまいそうな小さな文字で「ドライアイスは1回のみ」「霊柩車(れいきゅうしゃ)の移動は○キロ以内まで」などとただし書きが付けられている。先述のように火葬は5~10日後になることが多く、亡骸(なきがら)を保つためにドライアイスは複数回分が必要だ。また、霊柩車の移動距離はとても短く設定されていて、条件に当てはまるケースはほとんどないと思った。追加したり、延長したりすれば、結局、割高になってしまうことになる。

 知人の葬儀社に聞いた具体的なケースでは、準備の段階になって「祭壇の花が少ないようですけど……」などと喪主に話しかけるのを常套手段にしているところもあるという。喪主が「では少し華やかに」などと応えてしまうと、葬儀社は口頭で追加注文を受けたことにして、胡蝶蘭(こちょうらん)などの高価な生花をふんだんに使うというのだ。口頭でのやりとりだけなので、喪主の中にはこうした追加は総額料金の範囲内と勘違いする人がいて、葬儀の後に追加料金を加えた総額が高額になっているのに驚き、トラブルになるケースもあるという。

 一方で総額料金の提示であっても内容の詳細を示すなど、良心的な業者もある。トラブルを防ぐために、追加分が発生した場合は必ず追加料金の有無を確認し、「何を、どれだけ」ということをしっかり確認したほうがよい。

 臨終から葬儀の手配までは限られた時間しかなく、精神的にも動揺している中で、不慣れな手続きを行うことになる。エンディングノートがあれば大いに役立つし、信頼できる葬儀社を探しておくことも重要だと思う。

 もう一つ注意点がある。死亡届が出され、金融機関が死亡を知ると、故人の口座などは相続のために凍結され、お金を引き出せなくなる。葬儀にはまとまったお金が必要だが、夫婦で使う口座を故人の名義にしている場合などは、支払いに困ることにもなりかねない。生前から口座を分けておくなどの工夫も必要だ。

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