政治

「早期解散」か「先送り」か…データで読む損得

読売新聞調査研究本部主任研究員 舟槻格致

議員の在職日数多いほど、解散は与党に不利?

 過去の衆院選のデータから「解散時期が遅ければ遅いほど、選挙は与党に不利」という「仮説」が実証できるかどうかを調べてみた。

 「解散時期が遅ければ遅いほど、選挙は与党に不利」という命題は、言い換えれば、衆院議員の在職日数が多い時の選挙では、与党の獲得議席が減る傾向にあるのではないか、ということである。さらに数学的な言い方をすれば「衆院議員の在職日数と、その後に行われた衆院選の、定数のうち与党が獲得した議席の比率(議席率)には逆の相関関係があるかどうか」となる。これを、自民党が結成された1955年より後の計20回の衆院選について、調べてみた。

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 自民党結党後初の衆院選は、第1次岸内閣によるいわゆる「話し合い解散」を受けて行われた58年の第28回衆院選で、最後が、2014年に第2次安倍内閣が打って出た「アベノミクス解散」による第47回衆院選だ。このうち1993年の第40回衆院選までは中選挙区制で行われ、96年の第41回衆院選以降は、現在と同じ小選挙区比例代表並立制で実施されている。

 「衆院議員の在職期間」と「与党の獲得議席率」をグラフにすると、赤と青の二つの折れ線の山と谷が、大体逆の動きをしていることが見て取れる。特に96年以降は顕著だ。大雑把にいうと、在職期間が1000日未満だと与党が勝つケースが目立ち、それを超えると議席を減らしていることが多いようだ。

  • 第34回衆院選で、数寄屋橋で第一声をあげる三木武夫自民党総裁=1976年11月15日撮影
    第34回衆院選で、数寄屋橋で第一声をあげる三木武夫自民党総裁=1976年11月15日撮影

 衆院議員の在職期間が最も長いのは、76年の三木内閣による、いわゆる「ロッキード選挙」(第34回衆院選)が行われた時で、1461日。首相が解散をなかなか行えず、結局任期満了となったから、在職期間は丸々4年だった。現憲法下での任期満了選挙は、過去にこの一度しかない。選挙の結果をみると、与党の議席率は48.73%にとどまり、初の過半数割れになった。

 逆に、最も在職期間が短かったのが80年、内閣不信任決議案が自民党衆院議員の本会議大量欠席により可決された「ハプニング解散」を受け、大平正芳首相が急逝した後に行われた第36回衆院選で、わずか226日だった。その前の衆院選からわずか半年余りで行われ、与党は定数511に対して議席率55.58%と、過半数を優に超える大勝となった。

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