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「再選」もあり? トランプ大統領の侮れない強味

読売新聞調査研究本部主任研究員 大内佐紀
 物議を醸す言動に事欠かない。議会との関係が悪いため、主要法案は一本も成立しない。支持率も依然として低迷するトランプ米大統領だが、米国内では、「案外、しぶとく政権を維持するのではないか」との見方も出ている。日本記者クラブの米国メディア取材団の一員として9月下旬、ワシントンを訪れた読売新聞調査研究本部の大内佐紀主任研究員が、米有識者への取材をもとに、「トランプ政権の今後」について報告する。

離れようとしない中核の支持基盤

  • 毎日のように物議を醸すトランプ大統領。2020年の大統領選での再選はあるか(AP)
    毎日のように物議を醸すトランプ大統領。2020年の大統領選での再選はあるか(AP)

 大統領に選出されてからまもなく1年になろうとするトランプ氏の支持率は、相変わらず36~39%の間で低迷している。選挙戦時の主要公約を見れば、実現したのは気候変動に関するパリ協定や環太平洋経済連携協定(TPP)からの離脱といった、議会の承認を必要としないものばかりだ。

 上下両院で共和党が多数派を占めるにもかかわらず、議会の同意が必要な医療保険制度「オバマケア」の撤廃や法人税の大幅減税などは、必要な票数を得られるめどが立たない。対北朝鮮外交ともからんでくる、中国の「為替操作国」指定も同様だ。トランプ氏を忌み嫌う民主党のみならず、共和党上院ナンバー1のマコネル院内総務や下院ナンバー1のライアン議長との関係もすっかり冷え込んでいる。

 「トランプ大統領も、その側近たちも、連邦政府がどのように機能するのか、システムそのものがよくわかっていない」。長年、記者として活躍し、今は草の根で民主党を応援するクレッグ・ハインズ氏はあきれ顔だ。

 ハインズ氏の指摘には説得力がある。大統領になってからのトランプ氏の言動を見ても、核・ミサイル実験を繰り返す(キム)(ジョン)(ウン)朝鮮労働党委員長に「リトル・ロケットマン」というあだ名をつけて挑発したかと思えば、米外交を担うティラーソン国務長官との見解の相違をツイートする。イスラム圏からの入国を制限する大統領令を出し、ホワイトハウスでは高官を相次いで解雇、国歌斉唱をめぐりナショナル・フットボールリーグ(NFL)と対決する……。トランプ大統領は、外交から内政、社会問題に至るまで、歴代政権には見られないほどの物議を醸し続けている。

  • トム・ローゼンスティール米報道機関研究所所長
    トム・ローゼンスティール米報道機関研究所所長

 「主流派メディアは、大統領職の重みが彼を変え、ワシントンに適応した普通の大統領になることを予想したが、ここでも裏切られた」と米報道機関研究所のトム・ローゼンスティール所長は話し、今後も同様の事態が続くと見る。

 それでもトランプ氏の中核の支持基盤は離れようとしない。有権者の3割程度とみられる層の支持は堅固なままだ。「このコアな支持基盤は、『大統領の公約が実現しないのは、トランプ氏ではなく、議会や民主党のせいだ』と思いがちだ」と米調査機関ピュー・リサーチ・センターのブルース・ストークス氏は指摘する。

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