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「一強」習近平総書記の盤石ではない足元

神田外語大教授 興梠一郎
 中国共産党は党大会を経て新指導部を選出し、 習近平 ( シージンピン ) 政権の2期目がスタートした。党内では他者の挑戦を許さない体制を築き上げた習氏だが、13.8億の人々が暮らす中国の統治に死角はないのか。現代中国論が専門の神田外語大学・興梠一郎教授に聞いた。(聞き手・読売新聞メディア局編集部次長 田口栄一)

権威は一気に毛沢東並みに

――第19回中国共産党大会が24日まで開かれた。今回の党大会で注目すべきポイントはどこにあったのか。

  • 中国共産党大会が開幕した18日、政治報告を行う習近平総書記(ロイター)
    中国共産党大会が開幕した18日、政治報告を行う習近平総書記(ロイター)

 毛沢東は路線と人事を権力の源泉と見なした。路線とは、政策のような軟らかいものではなく、ほとんど神の声に近い。誰も逆らってはいけないものだ。今回の大会で習近平総書記の名前を冠した思想が党規約に書き込まれたことが一番大きい。

 党規約をバイブルだと考えると、そこにはまさに神の声が書かれている。一番ランクが高いのがマルクス・レーニン主義。次は毛沢東思想。その次はトウ小平(トウは登に、おおざと)理論。そのまた次は江沢民(ジアンズォーミン)元総書記のものだが、彼の名前は付いておらず、三つの代表重要思想となっている。続いて、胡錦濤(フージンタオ)前総書記の科学的発展観。今度は「観」で、また一つ格が落ちる。観というのは一つの見方に過ぎない。

 今回書き込まれたのは、習近平の新時代の中国の特色ある社会主義思想。江氏、胡氏という先輩2人と、トウ小平の理論を飛び越え、いきなり毛沢東のところまで行ってしまった。

 習氏の路線が党規約に書き込まれたことは非常に大きく、あらゆることに関して習氏が指導できるようになった。全てのことについて、習氏が解釈権を握ったということだ。習氏が言っていることであれば、間違っていても正しいということになる。

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2017年11月1日09:30 Copyright © The Yomiuri Shimbun