国際

ミャンマーどうなる?「スー・チー後」狙う指導者に聞く

読売新聞調査研究本部主任研究員 永田和男
 ミャンマーで、アウン・サン・スー・チー氏(72)率いる国民民主連盟(NLD)が2015年11月の総選挙で圧勝して丸2年。国家顧問兼外相として実質、政権を担うスー・チー氏だが、期待された経済改革や民族和解は停滞し、少数派のイスラム教徒ロヒンギャ難民問題への対応では国際的非難を浴びるなど苦境も伝えられる。3年後の20年総選挙で、新党を率い、「スー・チー後」の政権獲得を狙うココ・ジー氏(55)がこのほど来日したのを機に、読売新聞調査研究本部の永田和男主任研究員(元アジア総局長)がミャンマーの現状と残された民主化の問題点を聞いた。

「現政権の実績に不満な国民はかなりいる」

  • 東京都内でインタビューに応じるココ・ジー氏(10月15日撮影)
    東京都内でインタビューに応じるココ・ジー氏(10月15日撮影)

 「国民の中には、現政権に大いに期待していたが、たいしたことないじゃないか、と思う人や、(発足から)時間がたっていないからまだ成果がなくても仕方がない、と思っている人もいる」。ココ・ジー氏は、スー・チー政権への国内の評価をこう表現し、ここまでの政権の実績に不満な国民が実はかなりいると指摘した。

 15年総選挙はスー・チー氏のNLDが上院(定数224)と下院(同440)で計390議席を得て圧勝した。だが、新政権が最重要課題と位置づけた少数民族武装勢力との和平交渉は停滞。経済発展の原動力である外国からの投資伸び悩みも指摘されている。新政権が、テイン・セイン前政権の着手した公共工事を相次ぎストップさせるなどしたため混乱が生じたことも一因とみられている。

 ミャンマーと米国の調査機関が共同実施して今年8月に発表した世論調査結果によると、現政権の施策を「良い」と答えた人は58%で、テイン・セイン政権だった2014年の69%をかなり下回った。

 日本財団の招きで10月中旬に初来日したココ・ジー氏は、学生運動家を経て現在はミャンマー最大の市民団体である「88世代ピース・アンド・オープン・ソサエティー」の第2総書記。1988年8月8日に起きた「8888蜂起」と呼ばれる学生主導の大規模反政府デモにちなんで名づけられた「88世代」は、少数民族と政府の和平促進への参画など、在野の立場で国民和解と民主化に取り組んできた。軍政による自宅軟禁時代も含め、スー・チー氏を長年支援してきたが、少数民族問題への取り組みなど政策の不一致もあり、近年は、スー・チー氏とNLDから一定の距離を置いてきた。

【あわせて読みたい】
政権1年、スー・チー氏が背負う重荷と希望
動き出した「アウン・サン・スー・チー政権」に見る5つの注目ポイント
中国対インド、世界を動かすパワーゲーム
中国「一帯一路」会議から見えてきたもの

2017年11月16日05:20 Copyright © The Yomiuri Shimbun