社会

定年後に熟年離婚しない「いい夫婦」とは?

家族問題評論家 宮本まき子
 ベストセラーとなった楠木新さんの「定年後」(中公新書)では、退職して会社などの「居場所」を失った夫が苦戦する一方、妻は地域社会に早くから溶け込んで生き生きしているという夫婦間のギャップが指摘されていた。家族問題評論家で、夫婦カウンセリングの経験が豊富な宮本まき子さんは、こうしたギャップが「熟年離婚」の原因になりやすいと警告する。夫婦の溝をどうすれば埋めることができるのか。宮本さんにコツを解説してもらった。

孤立する夫、地域に溶け込む妻

  • 写真はイメージです
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 楠木さんの「定年後」からも読み取れるのだが、高齢になって職を失い、会社などの「居場所」も失った男性は孤独である。

 この本の中で、高齢男性同士が図書館で新聞を取り合い、言い争う様子が紹介されている。私も図書館で、共用の机に本を積み上げて場所を独占したり、自分史執筆の下調べをするのにピリピリした「仕事オーラ」を周りに発散し、受験生の邪魔をしていたりする60~70歳代の男性の姿を見かけることがある。

 要は、「ひとりぼっち」なのである。公共の場で一人で過ごすのも個人の自由ではあるが、それが連日となり、時には迷惑行為を働くまでになってしまうのは、在職中に会社以外の居場所や人間関係を築き損なったツケのように思えてならない。

 内閣府が2017年1月に公表した調査結果を見ると、「地域での付き合いをしていない」と答えたのは、70歳以上では男性が22.7%、女性が18.4%で、男性が4.3%上回っている。

 こんな調査もある。内閣府が16年に公表した「高齢者の経済・生活環境に関する調査結果」によると、60~64歳で収入のある仕事をしている割合は、男性が約75%、女性が約49%だった。

 ここから読み取れるのは、女性は男性より一足早く“定年後”の生活に入り、地域社会や家庭に戻るという次のライフスタイルに切り替えているという実情だ。それゆえ、男性が定年後を迎える頃、すでに妻は「定年後生活」のベテランというのが一般的なのである。

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2017年11月21日11:22 Copyright © The Yomiuri Shimbun