国際

王族も拘束…サウジアラビアで今、起きていること

住友商事グローバルリサーチ国際部シニアアナリスト 広瀬真司
 世界屈指の産油国、サウジアラビアで大異変が起きている。王族、現職の閣僚ら200人を超える要人が汚職などの容疑で拘束されたのだ。捜査機関のトップにいるのは、32歳の若き皇太子。サウジは皇太子のもとで近代化を進めているが、国王の後継問題も絡み、前途は平たんではないようだ。一連の出来事の背景について、住友商事グローバルリサーチ国際部シニアアナリストの広瀬真司さんに解説してもらった。

世界的大富豪である王子も

  • サウジアラビアの首都リヤドにそびえ立つキングダムセンター。拘束されたワリード王子は、このビルのオフィス部分最上階に執務室を構えていた(ロイター)
    サウジアラビアの首都リヤドにそびえ立つキングダムセンター。拘束されたワリード王子は、このビルのオフィス部分最上階に執務室を構えていた(ロイター)

 サウジアラビアから前代未聞のニュースが飛び込んできたのは、今月5日のことだった。前日の4日、同国を統治するサウード家の王族や現役閣僚、世界に名だたるビジネスマンら数十人が、突然、当局に身柄を拘束されたのである。

 事の発端は、サルマン国王が汚職対策最高委員会を設置し、自分の息子であるムハンマド・ビン・サルマン皇太子(以下、ムハンマド皇太子)をそのトップに据えたことである。摘発が始まったのは、その数時間後。まさに電光石火の出来事だった。後日の発表で、拘束された人の数は200人を超えた。

 拘束された人の名前に関する公式の発表はないが、現地の報道などから、十数人の名前が明らかになっている。その中で最も衝撃的だったのは、ムハンマド皇太子の従兄(いとこ)で、世界的に有名な大富豪であるワリード・ビン・タラール王子がいたことである。

 ワリード王子の総資産は170億ドル(約1兆9000億円)を超えると言われており、米経済誌「フォーブス」の世界長者番付に名前が載るほどの人物である。サウジの首都リヤドに行くと、中心部に「栓抜き」のような形の高さ約300メートルの超高層ビルがそびえ立っているのが目を引くが、これはキングダムセンターと呼ばれる建物で、この建物のオーナーであり、オフィス部分の最上階に執務室を構えているのがワリード王子である。

 ワリード王子が所有する投資会社キングダム・ホールディング・カンパニーは、世界的なメディアであるニューズ・コーポレーション社や金融機関シティバンクを傘下に収めるシティグループなどの大株主として名を連ねたことで有名であり、その資産力や運用能力から、米国の著名な投資家になぞらえて、「アラビアのウォーレン・バフェット」とも呼ばれている。

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2017年11月22日14:26 Copyright © The Yomiuri Shimbun