経済

物流業界、変わる“ラストワンマイル”

物流コンサルタント 角井亮一
 物流業界では、ネット通販拡大などにより配達量が増加し、再配達や当日配達などがドライバーの長時間勤務につながっていることが問題になった。宅配大手のヤマト運輸は再配達を見直し、27年ぶりに基本料金の値上げを決定。こうしたことを機に、配送拠点から玄関先までの最終区間を意味する物流の「ラストワンマイル」が多様化してきている。業界の現状を物流コンサルタントの角井亮一氏が解説する。

ドライバーの労働環境が悪化

  • 集配センターに出入りするヤマト運輸の配達員(2017年3月)
    集配センターに出入りするヤマト運輸の配達員(2017年3月)

 2017年2月に宅配大手のヤマト運輸でドライバーの長時間労働の問題が表面化した。

 背景には、急速に普及したスマートフォンを使ったネット通販の利用が拡大したことがあった。経済産業省によると、ネット通販の市場規模は2016年には約15兆1400億円となり、5年前の約1.8倍に膨らんだ。配達量が増え、さらに「再配達問題」と「当日配送問題」も加わり、ドライバーの労働環境が一気に悪化していたのだ。

 再配達個数は、国土交通省によると全体の約20%だが、ドライバーを取材すると体感値は「3個に1個が不在の荷物だ」と言う。

 ギャップはどうして起きるか。ドライバーは当日配送の指定ならばもちろんのこと、それ以外であってもその日のうちに何とか届けたいという思いが強い。午前中に不在であった場合、午後にも訪問し、さらに夜も届けることになる。

 再配達が20%であると、100個の荷物であっても、配達回数は最大140回となり、この日に受け取りがなければ、そのうち60回が不在配達となってしまう。当日配送が始まる前は、午後9時前に帰宅できていたのが、残業をするようになってしまった。国交省が示している数字よりも現場は過酷なのだ。

再配達ゼロを目指して

  • 東京のJR荻窪駅に設置された宅配ロッカー(2017年4月)
    東京のJR荻窪駅に設置された宅配ロッカー(2017年4月)

 ヤマト運輸は、「再配達問題」と「当日配送問題」を解消しようと、当日配達の締め切り時間を早めるなど時間帯指定を変更し、27年ぶりに配送料の基本料金も値上げした。

 物流業界全体でも再配達を減らす方策として、駅やスーパーなどに、宅配会社共有のロッカーを設置する取り組みを始めた。環境省も「できるだけ1回で受け取りませんかキャンペーン」を展開し、周知活動を行っている。

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2017年12月1日15:30 Copyright © The Yomiuri Shimbun