社会

困った高齢者?実はお年寄りも困っている

眼科医 平松類
 嫌な言葉は耳に入らず、口を開けば何度も同じ話ばかり――。「頑固で身勝手な高齢者」の象徴とされる振る舞いは、原因が肉体的な衰えの可能性もあると指摘する専門家がいる。眼科医の平松類さんだ。高齢の患者と接するかたわら、文献やデータを調べて研究した。周囲がお年寄りの体の衰えを理解して対応すれば、コミュニケーションは円滑にできるという。その方法などを解説してもらった。

高齢者との接し方を研究

  • 写真はイメージです
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 私は眼科医として毎日、高齢の患者さんたちと接しています。しかし、最初はうまくいかず、怒られることもありました。

 12年前、80歳代の男性患者さんに目薬の内容や使い方について説明していた時、男性患者さんは「あ?」と言って聞き返してきました。声を大きくしてもう一度説明しましたが、それでも不快な顔をされただけでした。聞こえないフリをしているのかと思いましたが、一緒にいた看護師が「しょうがないなあ」という顔をしつつ、患者さんに同じ話をすると、患者さんはうなずいて理解し、納得したように帰っていきました。

 看護師は、私より小さいけど低い声でゆっくりと話をしていました。経験則でそうした方が伝わりやすいと知っていたようです。私はそれを論理的に知りたいと思い、国内外の文献やデータなどを調べ、研究しました。10年以上にわたって高齢の患者さんに接した経験も踏まえて、一つの答えを出しました。

 高齢者の「困った行動」については、それまでは認知症や「年寄りになると頑固になる」といった性格に原因を求める説がありました。もちろんそれは否定しませんが、研究の結果、肉体的な衰えも関係している可能性があることがわかってきました。それならば、周囲が高齢者の体の衰えを意識し、正しく対処すれば円滑なコミュニケーションができると考えたのです。

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2017年12月10日05:20 Copyright © The Yomiuri Shimbun