社会

案内板がアイドル直撃…身近な物が凶器に変わるとき

読売新聞メディア局編集部 河合良昭
 4月、アイドルグループ「仮面女子」のメンバー、猪狩ともかさん(26)が強風で倒れた案内板の下敷きになって脊髄を損傷し、車椅子生活を余儀なくされた。2015年に札幌市で飲食店の看板が強風で落下して20歳代の女性が重体となる事故があり、対策が叫ばれたが、今回の事故を防げなかった。強風が“凶器”に変えるのは大きな看板などに限らず、高層マンションのベランダに置いた鉢植えなど、生活に身近なものも、そうなる可能性がある。悲劇を繰り返さぬように、私たちも注意する必要があるのだ。

案内板がアイドルを直撃

  • 脊髄を損傷し、車椅子生活になった猪狩さん(仮面女子提供)
    脊髄を損傷し、車椅子生活になった猪狩さん(仮面女子提供)

 猪狩さんは4月11日午後1時半ごろ、東京都文京区の湯島聖堂のそばを歩いていたところ、強風で倒れてきた木製の案内板(縦2.8メートル、横3.5メートル)の下敷きになった。猪狩さんは頭に切り傷を負ったほか、全身の複数個所を骨折。脊髄を損傷し、「両下肢麻痺(まひ)」と診断されて、車椅子生活となった。

 気象庁によると、この日、文京区に強風注意報が発令されており、都内では午後1時過ぎに最大瞬間風速23.2メートルを記録。事故のあったころも最大瞬間風速20メートルを超える風が吹いていた。湯島聖堂側は「案内板は28年ほど前にはあったことが確認され、何度か修繕も行われたようだが、いつ立てられたかなど詳しくは調査中」としている。いずれにしろ、この日の強風には耐えられなかったようだ。

 その目の前の歩道を、猪狩さんはたまたま歩いていて事故にあった。華麗なダンスと歌でファンを魅了していたアイドルは、突然、両脚が動かなくなるという現状を「受け入れるのに時間がかかった」と言う。今はリハビリに励む様子や心配してくれた人たちへの感謝の言葉を、ブログなどを通じて発信し続けている。

  • 猪狩さんが下敷きになった案内板(現在は撤去済み、湯島聖堂提供)
    猪狩さんが下敷きになった案内板(現在は撤去済み、湯島聖堂提供)
  • リハビリに励む猪狩さん(仮面女子提供)
    リハビリに励む猪狩さん(仮面女子提供)

2018年5月18日05:20 Copyright © The Yomiuri Shimbun