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火山噴火のハワイ島、住民が溶岩より恐れるもの

写真家 石川結雨子
 米ハワイ島のキラウエア火山で5月初めに発生した火山活動は現在も続き、赤みを帯びた溶岩が流れる様子が世界中で報道されている。その ( すさ ) まじい光景に観光客は激減。AP通信によると、ハワイ州の観光事業が被った経済的損失は5月23日までに1億6600万ドル(約183億円)に及んだと推定されるという。しかし、現場近くに住む写真家の石川結雨子さんは「本当に危険なのはごく一部の地域だけ。現地の人々は落ち着いている」と話し、むしろ、海外での過剰反応による“二次被害”を心配している。(聞き手・読売新聞メディア局編集部 中根靖明)

溶岩トンネルの亀裂から噴出

 ――溶岩流の噴出からもうすぐ一か月。現地の状況はどうでしょうか。「溶岩が海にまで到達した」という情報もありますが。

  • レイラニエステーツ付近の亀裂から噴き出した溶岩(5月末、米地質調査所提供)
    レイラニエステーツ付近の亀裂から噴き出した溶岩(5月末、米地質調査所提供)

 最初に溶岩が噴出したのは、私が住んでいるアイナロアという地域から直線距離で約7キロ離れたレイラニエステーツ付近です。(地中を流れる)「噴火帯」が火口から(東向きに)通っていて、その亀裂から噴き出したのです。噴火帯は「イーストリフトゾーン」と呼ばれるのですが、こうした亀裂は現時点で24か所あります。現地時間の6月2日時点で、一番激しく溶岩が噴き出しているのもレイラニエステーツ付近の亀裂です。

 ただ、溶岩流には軌道があって、一部、途中から“枝分かれ”したケースがありました。予想以上の規模に(溶岩流が)拡大した場所もありますが、ほぼ(米地質調査所の)予測通りに溶岩が流れています。

 ――こうした火山活動は、2000年代から頻繁に見られるようになったと言われていますね。

 私が引っ越してきたのは08年7月ですが、(当時は)すでに火山活動が活発化していました。直前の08年3月19日、キラウエア火山の「ハレマウマウ火口」が84年ぶりに噴火したのです。それ以前は火口近くまで近づけた時期もあったそうです。

 (その前の)86~90年には、(レイラニエステーツから数キロ南西にある)カラパナの街にまで溶岩が流れる噴火がありました。

 ――2014年にも噴火があり、その際も溶岩がよく似た動きをしたようですね。

 そうですね。今回よりも少し北を溶岩が流れましたが、同じ「プウオオ火口」から流れたという点で今回の噴火に近いです。ただ、当時の被害は限定的でした。

2018年6月4日12:55 Copyright © The Yomiuri Shimbun