生活

梅雨でも晴れやか…青学大・原監督夫人の「寮母力」

青山学院大学陸上競技部「町田寮」寮母 原美穂

キツイ言葉でも相手は笑顔に

  • 箱根駅伝を3連覇し、胴上げされる原晋監督(2017年1月)。翌年の箱根も制してV4を達成した
    箱根駅伝を3連覇し、胴上げされる原晋監督(2017年1月)。翌年の箱根も制してV4を達成した

 原さんが何より重視するのは、部員たちとのコミュニケーションだ。ただやみくもに声をかけるのではなく、ポイントがあるという。

 「理想や希望に押しつぶされてしまう子は、(抱え過ぎたものを)吐き出すことができていない。そんな時は話を聞いた上で、今の自分の状況に気づいてもらうようにします。『(うまくいかなくても)そんなもんだって。自分のこと、どんだけの人だと思ってんの?』と。大きなことを言ってしまった手前、自分では(目標や理想を)下げたくても下げられない子もいる。手を差し伸べてあげる必要があるんです」

 逆に、目標が低すぎる場合はハッパをかける。「私から見てラクしてるなと思ったら、『それじゃ、いつまでたっても変わらないよ』って。ちょっとキツイ言葉でも、本人が『当たっているな』と思えば笑顔が出るものです」

 集団生活の場である寮内では、1対1の関係だけでなく、仲間になじませることも大切だ。

 「例えばみんなが集まっている中に、あまり話をしない子がいたら、私が『◎◎はどうなの?』と話を振って絡ませるようにします。(上級生も含め)みんなを見なければならない立場なので、(1人にかかりきりになるのでなく)溶け込ませた方が都合がいいというのもあります」

聞き流せない愚痴も

 原さんが目を配る相手は、新入生だけではない。コミュニケーションに関しては、むしろ上級生たちの言葉に注意しているという。

 「『こんな練習やってても……』といった愚痴や不満を耳にしても、それが1年生や2年生の言葉なら笑って聞き流します。でも、上級生、特に4年生が言っていたら注意します。寮生活の中では、酸いも甘いも分かっている4年生の言葉には重みがあります。それがマイナス発言なら、チーム全体の雰囲気を重くし、ムードを押し下げてしまうこともあるんです。逆に、4年生が充実している様子であれば、チームの雰囲気もプラスになっていきます」

 16年度に大学駅伝3冠を達成した同部は、17年度も2年連続での偉業達成が確実と見られていた。しかし、出雲駅伝は2位、全日本大学駅伝は3位に終わった。

 「(連続三冠という)目標が高すぎて押しつぶされてしまったのもあると思う。特に4年生は『自分たち(の代)が』と意気込みすぎた面がありました。本人たちは『違う』と言いますけど、私から見れば、気合が入り過ぎて雰囲気を重くしていると思うところがありました」

2018年6月8日05:20 Copyright © The Yomiuri Shimbun