社会

職場が生む「ぶら下がりワーママ」とは?

ワークシフト研究所所長 国保祥子

制度に「ぶら下がる」ワーママ?

  • 写真はイメージです
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 女性が働きやすい環境を整備するための法律の制定も進み、各企業で育休制度や短時間勤務制度(時短勤務)など、女性が育児をしながら、仕事に取り組みやすくするための仕組みが取り入れられました。

 しかし、せっかく仕事を続けやすい環境を整えたにもかかわらず、本来、高い能力を持つ女性でも、その力を発揮することなく、職場で「ぶら下がり」などと言われる状態になってしまっては、職場にとっても本人にとっても不本意なはずです。

 入社前に採用担当者から「育児と両立しやすい制度が整っている」と聞いていたのに、いざ入社して目にしたのは、ワーママの「ぶら下がり」に不満を漏らす上司や同僚たちだった……こういった光景を目の当たりにし、がっかりした……という人もいるかもしれません。

 どうしてこうなってしまうのか、考えてみたいと思います。

仕事から帰ったら、育児や家事が……

 かつての意欲的に仕事に取り組む姿勢との大きすぎるギャップから、職場の士気を下げるとも指摘される「ぶら下がりワーママ」。しかし、本人たちもその状態を決して好ましいとは思っていないようです。

 ワーママたちにももちろん事情があります。特に就学前の子どもがいる家庭では、子どもが保育園から帰ってきた午後5~10時頃の時間帯に、育児や家事の仕事が集中します。

 急いで仕事から帰ってきて、保育園へ子どもを迎えに行き、家でもやるべきことが山積み。残業している夫(パートナー)を当てにはできず、全てを一人でこなす……そうした(つら)い状況の中、以前のように充実感をもって働くという道を見つけられずに苦しんでいるケースも多いようです。

男性の育児参加が進まない日本

 管理職などとして活躍する女性は増えていますが、欧米に比べ、日本ではいまだに男性が外で働き、女性が家事や育児を担うという考えが強いようです。

 総務省の調査などを基にした内閣府の資料によると、6歳未満の子どもを持つ男性の1日当たりの家事・育児関連時間はスウェーデンが3時間21分、ドイツが3時間、米国が2時間58分と3時間前後に上るのに対し、日本はたった1時間7分です。

 実に、欧米の男性の3分の1の時間しか家事や育児にかかわっていないのです。

 つまり、欧米では女性の活躍の裏に夫の協力があるのです。しかし、日本では女性の社会進出が進んだ現代でも、家事や育児の大半を女性が担っているという状況に大きな変化はないと言えます。

 そのため、独身時代や出産前には、残業するほど熱心に仕事に打ち込んでいた女性でも、結婚して子どもが生まれると、親の支援などがない限り、家事や育児を優先するような働き方をせざるを得ないのが実情です。

2018年6月7日11:22 Copyright © The Yomiuri Shimbun