社会

職場が生む「ぶら下がりワーママ」とは?

ワークシフト研究所所長 国保祥子

「ぶら下がり」防止のため上司はどうする?

  • 写真はイメージです
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 では、こうしたワーママの「ぶら下がり化」を防ぐために、職場の上司は職場復帰したワーママにどのように接するべきなのでしょうか。

 筆者は、仕事を通じてワーママに働く上での「安心感」と、適度な業務負荷で「やりがい」、「達成感」を与えるようにすることが大切だ、と考えています。

 厚生労働省の「2016年度雇用均等基本調査(確報版)」によると、日本企業の女性管理職比率(課長相当職以上)は12.1%にとどまっています。近年、ゆるやかに比率は上昇しているものの、まだまだ女性にとって、昇進は「多くの人が経験するもの」とは言えません。

 このため、女性に責任範囲の拡大を受け入れてもらうためには、昇進や報酬といった「外発的動機付け」以上に、やりがいや達成感のような「内発的動機付け」がより効果的といえるのです。

 やりがいを感じさせるためには、責任ある大きな仕事を任せることのほか、目標達成をサポートする体制を職場に整備したり、貢献を評価したりすることが大切です。

 具体的には

 ・出産前に培った知識や経験を十分に発揮できる仕事を任せる。

 ・そういった知識や経験を生かして後輩を育成する役割を与える。

 ――などです。

本人と一緒に考える

 とはいえ、育児との両立に不安を抱えているワーママは、自分で責任を果たせる自信がない仕事は引き受けようとしない傾向があることも指摘しました。

 ただ、確実にこなせる仕事だけをしていては成長につながりません。成長し続けられるよう、上司の側も意識して挑戦的な仕事を任せるなど、少しだけ背中を押してあげる必要がある、と筆者は考えています。

 ただし、一方的に責任を与えるだけではワーママの不安を増幅させ、引き受けようとしないこともあるでしょう。「何が不安なのか」「安心して取り組めるようにするためには何が必要か」「いざというときのサポートをどうするか」――などを聞き、「安心感」を持ってもらうための対策をワーママと一緒に考えることも大切です。

 このコミュニケーション自体が「上司は味方だ」という実感を与え、ワーママのさらなる安心につながり、かつてのような挑戦的な仕事にも取り組みやすくなります。

 上司のこうした「意識改革」は、職場全体にも良い影響を与えます。「子育て」という絶対的な制約のために、仕事の意欲に自らブレーキをかけてしまいがちなワーママを適切にサポートできる上司は、親の介護と仕事を両立している社員や、発展途上の若手など、他の部下の意欲を高めることができるはずだからです。

2018年6月7日11:22 Copyright © The Yomiuri Shimbun