戦力分析

【箱根駅伝出場21チーム紹介〈1〉】今季無冠の青学大、箱根の申し子森田でV4へ逆襲

  • 箱根駅伝V4へ向け練習に励む(右から)下田、森田ら青学大の選手たち(カメラ・泉 貫太)(スポーツ報知)
    箱根駅伝V4へ向け練習に励む(右から)下田、森田ら青学大の選手たち(カメラ・泉 貫太)(スポーツ報知)
  • 充実した練習に笑顔の森田歩希(スポーツ報知)
    充実した練習に笑顔の森田歩希(スポーツ報知)

 ◆青学大 前回優勝(10年連続23回目)=出雲2位、全日本3位=

 第94回箱根駅伝(来年1月2、3日)まで、あと24日に迫った。「箱根への道」では9日から直前特集として全21チームを日替わり連載。第1回は昨季3冠を達成しながら今季は無冠の青学大。前回4区2位の森田歩希(ほまれ、3年)は元国学院大監督の桂さん(47)を父に持ち、幼少期を同大学の選手寮で過ごした。「箱根駅伝の申し子」が4連覇の鍵を握る。

 物心が付く頃から、森田は箱根駅伝を目指す学生ランナーと一つ屋根の下で暮らしていた。父・桂さんが国学院大の監督を務めていたため、1~5歳まで川崎市の選手寮内の監督部屋で生活。「選手のお兄ちゃんたちの部屋に遊びに行って、お菓子とかをもらった記憶があります」と笑う。

 東京・町田市の青学大選手寮で苦楽を共にする原晋監督(50)、妻・美穂さん(50)の姿を見て森田は思う。「監督、奥さんには本当に感謝している。同時に両親を尊敬する。子供の頃、楽しい思い出しかないけど、今になって父や母の苦労が分かる。特に国学院大学を箱根駅伝初出場(2001年)に導いた父はすごい」

 父や身近にいた学生ランナーの影響で小学生時代から走り始め、早くから才能を発揮した。市民マラソン大会の小学生の部で5連覇。茨城・守谷市立御所ケ丘中3年時には5000メートルで14分38秒99の日本中学記録(当時)をマーク。竜ケ崎一高1年で、高校トップクラスの14分18秒84まで記録を伸ばした。

 その後は故障が相次ぎ、走れない日々が続いた。「エンジン(心肺機能)が抜群」と高く評価した原監督の誘いを受け、青学大進学を決断したものの「不安もあった」という。

 転機は昨年7月だった。「青トレ」と呼ばれる体幹トレーニングを地道に続けた成果で故障が減り、5000メートル記録会で14分12秒85をマーク。4年ぶりの自己ベストだった。「競技人生で最もうれしかったレース」で自信を取り戻し、主力に定着。昨季は全日本大学駅伝6区区間賞でMVP獲得。箱根駅伝は4区2位。いずれも優勝に貢献した。

 今季、出雲駅伝2位、全日本大学駅伝3位の昨季3冠王者に残されたチャンスは箱根駅伝。主力からエース格に成長した森田への期待は大きい。「前回はつなぐ意識だったが、今季は優勝を決定づける走りをしたい」と意気込む。原監督も「大人で賢い。実戦で失敗がないから安心して送り出せる」と信頼している。

 『希望する目標に向かって一歩ずつ進んでほしい。その先に誉れがある』と両親が名付けた「歩希」。名前に劣らず、森田の夢も大きい。「将来はマラソンで五輪に出たい。2020年は間に合わないので24年、あるいは28年で勝負したい」

 箱根駅伝は『世界で通用する選手を育成する』という崇高な目的の元に1920年に創設された。“箱根駅伝の申し子”は大会理念もしっかり理解している。(竹内 達朗)

 ◆森田 歩希(もりた・ほまれ)1996年6月29日、茨城・守谷市生まれ。21歳。御所ケ丘中3年時に5000メートルで14分38秒99の日本中学記録(当時)樹立。2015年、竜ケ崎一高から青学大社会情報学部に入学。学生3大駅伝は2年全日本6区1位、同箱根4区2位、3年全日本4区3位。趣味は温泉巡り。家族は父・桂さん、母・純子さん(43)、妹・芽生さん(13)。169センチ、54キロ。

 ◆戦力分析

 昨季まで絶対王者として君臨した青学大が今季は苦境に立たされている。出雲駅伝は東海大の2年生パワーに屈し、2位。全日本大学駅伝は浮き沈みの激しい展開で3位に終わった。「凸凹駅伝だった」と原監督は苦い表情で評した。 4連覇がかかる箱根駅伝まで1か月を切り、チーム状況は上向いた。2~7日に千葉・富津市で行われた選抜合宿には主力全員を含む19人が参加。全日本で精彩を欠いたエース下田、不調だった前回5区8位の貞永も復調気配だ。「誰を入れるか―ではなく、誰を外すか―で悩んでいる」と原監督。現4年生が入学以来、箱根駅伝負け知らずの“成功体験”も強みだ。 「凸凹があっては勝てないが、逆に言えば調和の取れたオーケストラのような戦いができれば必ず勝てる。指揮者である私の腕の見せ所」と原監督。恒例の「○○大作戦」と手腕に注目だ。

 ◆青学大陸上部 1918年創部。箱根駅伝には43年に初出場。2004年に原監督が就任。09年に大会史上最長のブランク出場となる33年ぶりの箱根路復活を果たし、15年に初優勝。昨季は学生駅伝3冠&箱根V3を達成。出雲駅伝は優勝3回。全日本大学駅伝は優勝1回。タスキの色はフレッシュグリーン。長距離部員は選手43人、学生スタッフ10人。主なOBは神野大地(コニカミノルタ)。

(スポーツ報知)

2017年12月9日12:00 Copyright © The Yomiuri Shimbun