戦力分析

【箱根駅伝出場21チーム紹介〈21〉】大東大・大久保、やっとつかんだ父への挑戦権

  • 伝統のしゃもじを手にする大東大・大久保陸人(カメラ・川口 浩)(スポーツ報知)
    伝統のしゃもじを手にする大東大・大久保陸人(カメラ・川口 浩)(スポーツ報知)

 大東大の5区に「最強の山男」のDNAを持つ大久保陸人(3年)がエントリーされた。父・初男さん(62)は、1974年~77年大会で史上初の5区4年連続区間賞を達成。偉大な父の母校に入学したが、故障もあり、2年時は一度もレースを走れなかった。5区に強くこだわる姿勢から「まずはできることを」と精神面で成長。苦しんだ思いをぶつける時がきた。

 大久保がやっと箱根路を走るチャンスをつかんだ。実現すれば前回、奈良修監督(46)の長男、凌介(2年)の「父子鷹」に続いて親子で同じ区間を走ることになる。「やはり父が走った区間を走りたい気持ちはある」と心待ちにする。

 1年の出雲、全日本大学駅伝出場後に故障し箱根は出場を逃した。2年時は右膝、左すね痛などが続き、ひとつもレースを走れなかった。練習すら全くできず、ストップウォッチ片手に「マネジャーみたいに」タイムを計測する日々。関東大学女子駅伝の走路員も務めた。3年になっても夏過ぎまで調子が上がらず、箱根予選会のメンバーから漏れた。

 折れそうになる心を両親が支えてくれた。母は電話で「焦らず、やれることを一つ一つやって、4年で一度でも走れればいい」と励ましてくれた。骨太のガッシリした体格で「多少の痛みなら走って治していた」という父に倣い、痛みに過敏になりすぎず付き合えるようになった。裏方の支えを実感したこともあり、「高望みをせず地道に力をつけよう。まず自分ができることをやろう」という心境に変わっていった。

 前回の箱根は3、7区の給水係を務めた。ランナーへの声援と同時に「大久保頑張れよ~」という声が聞こえた。箱根実績ゼロの自分の名が呼ばれ「期待に応えたい」と思いは強まった。奈良監督は「実力が同等な選手は他にもいる」と話しており、当日変更の可能性はある。今は、父が4度、誰よりも速く駆け抜けた天下の険に挑戦する日を静かに待つ。=おわり=

◆戦力分析

 先行粘り込みで3年ぶりのシード権獲得を目指す。奈良監督は「1~4区で勝負を決めたい」と往路に主力を集めた。1区に起用する新井は11月25日に1万メートルの自己ベストを更新。5000メートルとともにチームトップの記録を持つ。前々回はハイスピードについていけず、区間19位に沈んだ。雪辱を果たして好スタートを切りたい。

 前回1区で区間12位だった前田は、3月の世界クロスカントリー選手権出場後に故障し、予選会、全日本を欠場。復調して4区を任せられる状態に間に合った。2区の林は卒業後は北海道の酪農牧場へ就職するため、今大会がラストラン。「最低でもシード権は残したい」と意気込んでいる。“山の大東”ながら過去2回は5区でともに区間19位と苦戦。大久保の状態次第でルーキー起用もある。

 ◆大久保 陸人(おおくぼ・りくと)1996年5月16日、宮城・柴田町生まれ。21歳。船迫中ではサッカー部に所属。東北高入学後、陸上を始める。趣味は温泉巡りで「1人で行って周りのおじいちゃんたちの話を聞いているのが楽しい」。尊敬するアスリートは高校の2年先輩、羽生結弦(フィギュアスケート)。家族は父・初男さん、母・好美さん、陸上の元実業団選手の姉・美里さん。162センチ、47キロ。

 ◆大東大 1967年創部。箱根駅伝は68年に初出場。総合優勝は75、76、90、91年の4回。往路、復路とも4回優勝。出雲駅伝は優勝1回(90年)、全日本大学駅伝は73年の初優勝以来7回制し、90年度は史上初の学生駅伝3冠を達成した。長距離部員は40人。タスキの色はライトグリーン。主なOBは88年ソウル五輪長距離代表で拓大元監督の米重修一、16年リオ五輪男子マラソン代表の佐々木悟ら。

(スポーツ報知)

2017年12月31日12:00 Copyright © The Yomiuri Shimbun