国語の読解、正しい手間のかけ方…南雲ゆりか

夏休みの学習…まずはゆっくり、たくさん正解すること

 いよいよ夏休みが始まります。

 国語の読解をがんばろうと気合を入れている方もいらっしゃるでしょう。

 でも、大量の問題を、短い時間でどんどん解く計画を立てている人は要注意です。読みも深まらず、解き方の確認もできないまま、雑に解く習慣がしっかり身についてしまいます。

 これでは本番、勝負になりませんね。塾の授業や模試などでは短い時間で解きますが、短時間で解く練習をそれ以上やる必要はありません。家で解くときは、制限時間内でこなすのではなく、いかにたくさん正解するかを大事にしてください。

 試験時間よりもさらに短い時間で解いてみようなどという不毛なチャレンジは絶対にしないでください。時間をかけて解けないものが、短時間で解けるはずがありません。まずは、ゆっくりやって、正解に至る経験を数多くすることなのです。そうやって「正解の出し方」が身についてしまえば、あとは(おの)ずとスピードも上がります。

時間の使い方「禁止」4か条

 でも、ただ時間をかければよいかといえば、そうではありません。次のような時間の使い方はしてはいけません。

 <1> 一番最初に本文に目を通す段階で、あちこちに線を引いたり、印をたくさんつけたりする。

 <2> 選択肢を見比べてなかなか決断できずに迷ってしまう。

 <3> 記述で何を書けばいいのかわからず、頭の中にアイデアが浮かんでくるのを待ってしまう。

 <4> 集中力が途切れて、シャープペンの分解、つめいじり、いたずら書きなど他のことをしてしまう。

 

 では、どのようなところに時間をかけるとよいのでしょうか。

「設問の読み取り」「本文との照合作業」「本文への書き込み」しっかり

 まずは、「設問の読み取り」です。記述や書きぬきは、設問の読み取りができてこそです。記述が苦手だという人は、題意がわかっていないことが多いのです。

 次に、問題を解く際に行う「本文との照合作業」です。

 選択肢を見る前に、本文に戻って情報収集するという作業をしていますか? 「時間がないからそんな余裕はない」という声も聞きますが、本末転倒です。本文を読まずして答えるということは、ありえないのです。時間が足りないのではなく、本文に戻るのを面倒くさがっているだけではありませんか? 照合作業さえちゃんとやれば、瞬時に答えが出せる選択肢問題も多いのです。

 もうひとつ、時間がかかってでもやるべきことは、解答する際に行う、本文への書き込み作業です。

 たとえば「50字以内の部分を探して、はじめと終わりの5字を書きぬきなさい」という条件の問題が出てきたとき、字数をちゃんと数えていますか? 字数は答えを絞り込むための重要なヒントです。

 面倒だからと数えない、数えているうちにわからなくなってしまうという人は、1~10までのカウントを繰り返しながら10字ごとに切れ目を書き込む方法をマスターしてください。最小限の時間で正確に数えることができます。

「記述問題」の答えのネタ探し…余白に書き始めよう

 最後に、記述問題を解く際の時間のかけ方です。ほとんどの記述問題は文中の語句を使用して解答しますから(自分の言葉で書くとしても、本文を根拠にします)、答えのネタになりそうなところを探して〈 〉を書き込んでいく作業をしてください。そして、それを見ながら実際に書き始めることが大事です。字数制限がある場合は、余白にさっと書いてみて、字数を数えてから解答用紙に清書するのもいいでしょう。

 もうおわかりだと思いますが、時間をかけて解くとは、言い換えれば「必要な手間をかける」ということです。

 夏休みの間に、正しい手間のかけ方を確認し、上手にできるようになれば、国語の成績は安定しますし、量をこなさなくても間に合ってきます。

 限りある40日間だからこそ、必要な時間はしっかりかけて、質の高い学習をしてください。

 

▽これまでのアドバイス

 ・投げやり答案「ご注意」6か条

 ・本物の「できる子」どんな生徒?

 ・焼き魚やみそ汁も「入試対策」

 ・志望校「そっくり模試」の功罪

 ・語彙(ごい)力」どうやって増やす?

 ・苦手な国語の記述問題、こうすれば「お得」

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 ・間違えた問題と向き合おう

 


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プロフィル
南雲ゆりか  (なぐも・ゆりか
 南雲国語教室主宰。フェリス女学院中学・高校を経て、横浜国立大学教育学部卒業。横浜市立小学校の教員を務めた後、大手進学塾講師に転身。最難関校受験コースの指導にあたるとともに、模試や教材を多数執筆。「中学受験は子どもが幸せになるためのもの」という信条のもと、指導にあたっている。著書は「笑って合格する中学受験必勝法」(ダイヤモンド社)、「考える力がつく国語勉強法」(ダイヤモンド社)。