記述問題のまとめ方、鉄則6か条…南雲ゆりか

文の大事なところは?…見分け方がわからない

 私は小学生の頃、「文をまとめなさい」と言われると、いやだなぁと思いました。どうすればよいか、やり方がよくわからなかったからです。

 「大事なところを落とさないようにすればいいんです」と説明されても、どこが大事なところなのか、その見分け方もわかりません。

 仕方ないので、なんとなくこんな感じかなと思いながらやっていましたが、自分の書いたものがよいのか悪いのか、心もとなくて落ち着かない気持ちでした。

主語と述語、比喩…国語の解答とは

 さて、「まとめる」という作業は、記述問題にもついてまわります。

 まずは「基本的なまとめ方」から紹介したいと思います。宮沢賢治の『雪渡り』を使用します。

問1 次の一文からわかる情景を「~情景。」に続くように簡潔にまとめなさい。

 

 雪がすっかり凍って大理石よりもかたくなり、空も冷たいなめらかな青い石の板で出来ているらしいのです。

 

鉄則1 主語と述語をおさえる。

 本来、主語と述語は一文節で答えなければなりませんが、ここでは、主語のまとまり、述語のまとまりとします。それぞれに赤線青線を引いてみましょう。

 がすっかり凍って雪大理石よりもかたくなり空も冷たいなめらかな青い石の板で出来ているらしいのです

 「雪が凍ってかたくなり」はわかりますが、「空も出来ている」といわれても意味が通じません。そこで、次のルールです。

 

鉄則2 比喩表現は省くか、ふつうの言い回しに変える。

 「冷たいなめらかな青い石の板」にたとえているのですから、空が青く晴れていることがわかります。

〈解答例〉

 ・雪が凍ってかたくなり、空は青く晴れている(情景。)

 ・空は青く晴れわたり、雪はかたく凍っている(情景。)

 もとの文に比べると、ずいぶんおもしろみのない表現となってしまいました。でも、これが国語の解答です。枝葉を取って幹だけにしてしまうのですから、無味乾燥な答えになります。

反語、登場人物の気持ち…少し高度なテクニック

 もうひとつやってみましょう。今度は少し高度なテクニックを使います。

問2 次の文章から読み取れる四郎とかん子の気持ちを、理由もわかるようにまとめなさい。

 

 四郎とかん子とは小さな雪ぐつをはいてキックキックキック、野原に出ました。
 こんなおもしろい日が、またとあるでしょうか。いつもは歩けないきびの畑の中でも、すすきで一杯だった野原の上でも、すきな方へどこまででも行けるのです。平らなことはまるで一枚の板です。そしてそれがたくさんの小さな小さな鏡のようにキラキラキラキラ光るのです。

 

鉄則3 反語表現はふつうの言い回しに変える。

 「こんなおもしろい日が、またとあるでしょうか」に二人の気持ちが示されています。

 これは反語ですから、言いかえると「最高におもしろい日だ」となります。

 では、どうしておもしろいのでしょうか。

 「いつもは歩けないきびの畑の中でも、すすきで一杯だった野原の上でも、すきな方へどこまででも行ける」からです。

 なお、「おもしろい気持ち」は「愉快な」「楽しい」などにも置きかえられます。この心情は「キラキラキラキラ光る」という情景描写にも表れていますね。

鉄則4 理由ははじめに書く。

〈第一段階の答え〉

 いつもは歩けないきびの畑の中でも、すすきで一杯だった野原の上でも、すきな方へどこまででも行けるので、おもしろい気持ち。(59字)

  

 中学年なら、このようなまとめ方で十分です。

「三十五字以内」…短くまとめる上級者テクニック

 それでは、「三十五字以内」で答えてみましょう。短くまとめる方が難しくなります。

鉄則5 抽象化する。

 「きびの畑でも、野原の上でも」と「でも」をつけて反復しているので、「きび畑」と「すすき野原」に限定しているわけではないことがわかります。「畑や野原」としても大丈夫です。

鉄則6 意味を変えずに別の単語に置き換える。

 「すきな方へどこまででも」は「制約がない」ということですから「自由に」に置き換えられます。  

〈解答例〉

 ・いつもは歩けない畑や野原の上を自由に行けるので、楽しい気持ち。(31字)

 ・いつもは歩けない畑や野原の上を自由に行けるので、愉快になっている。(33字)

 別の単語に置き換えるのは、しっかりとした言葉の力が必要なので、上級者テクニックです。まずは文中の言葉を使うことを心がけてください。

 他にも、まとめるテクニックはいろいろあります。

 授業をしっかり聞いて、身につけていってください。

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プロフィル
南雲ゆりか  (なぐも・ゆりか
 南雲国語教室主宰。フェリス女学院中学・高校を経て、横浜国立大学教育学部卒業。横浜市立小学校の教員を務めた後、大手進学塾講師に転身。最難関校受験コースの指導にあたるとともに、模試や教材を多数執筆。「中学受験は子どもが幸せになるためのもの」という信条のもと、指導にあたっている。著書は「笑って合格する中学受験必勝法」(ダイヤモンド社)、「考える力がつく国語勉強法」(ダイヤモンド社)。