計算問題の間違い、本当にミス?…竹内洋人

「雑な処理」…気をつければ大丈夫?

 大手塾の模試ではほとんどの場合、最初に3題ほどの計算問題が出題されます。受験生としてはできるだけ速く正確に処理をして3問分の点数を稼ぎたいところですが、なかなかそうはいきません。「毎回1問落としてしまう…」「今回は2問もミスをしてしまった…」ということはよくありますね。誰しも集中力を欠けば「雑な処理」をしてしまうので仕方のないことです。

 そして「次はミスをしないように気をつけよう」と自分に言い聞かせて、他の文章題や図形問題を解き直すという感じでしょうか。「雑な処理」が原因のミスであれば百歩譲ってそれでもかまわないのかもしれませんが、そもそもそれは本当にミスでしたか?

ミスとして片付けられないほど正答率が下がる問題

 大体ですが、シンプルな計算問題では正答率が80~90%くらいになります。そして例えば、6年生で小数や分数が交ざった少し複雑な計算問題になると、正答率が60%ほどに下がります。計算量が増えるにつれてミスをしてしまう確率が上がるのは自然なことですが、中にはミスとして片付けられないほど正答率が下がる計算問題もあります。例えば次のような分数計算はどうでしょうか。

 このタイプの分数計算が交ざると、正答率は同じ複雑さの計算問題と比較して10~20%も下がってしまいます。きちんと計算したつもりが、予想に反して間違えていた人の多くは、約分で次のような処理をしてしまっていたのではないかと考えられます。

 仮に分数計算を習ったばかりの4年生であれば慣れていないというのもありますし、根本的な知識不足ということで正答率が20%下がっても驚きません。しかし、実際には6年夏以降の模試でもこういったことが起こります。

 6年生で上に挙げたような間違いをしてしまうということは、これまでも同じことを繰り返してきたのでしょう。分数の正しい計算ができないことが原因であって、これはミスではないですよね。正しい計算は次のようになります。帯分数の整数部分24も「8分の3倍」にしなければいけません。仮分数に直してから計算すれば明らかですね。

正しい計算ができない…大きな得点差になる

 模試の解説では最初の計算問題の解説が省略されていることも少なくありません。なのでこういったポイントに注意を払うことなく、誰からも指摘されることなく、あっさりとミスとして結論づけてしまうのでしょうね。しかし計算自体に明らかな弱点があれば、それは計算問題だけでは済みません。文章題でも図形問題でも、同様の計算が出てきた場合は落としてしまうことになります。そうなれば得点としては大きな差になってしまいます。

 受験勉強では「質と量のどちらが大切なのか」というテーマがよく取り上げられます。もちろんどちらも重要で、一方に偏り過ぎないバランスの取れた学習をするべきなのだろうと思いますし、多くの受験生は実行できているかどうかは別として、そういった取り組みをしているでしょう。しかし現実としては、少なくとも90%の人は「復習の質」が「全然ダメ」です。「これがあなたの実力です」「×印が付いている問題をきちんと復習すれば実力がアップします」と教えてくれているテスト結果を、テキトーに読み流すようなことをしてはいけません。

次のテストから…まずは「復習の質」を上げていく

 厳しめの意見をさせてもらいましたが、これは僕自身が90%に含まれる「復習が全然ダメ」「復習が大嫌い」なタイプだったことの反省を踏まえてのアドバイスでもあります。「学習の質」といっても、なかなか改善は難しいものです。次のテストからで構いません。まずは「復習の質」から少しずつ上げていくというのはどうでしょうか。

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プロフィル
竹内洋人  (たけうち・ひろと
 東京大学理学部・同大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻修了。自身の体験を通じて算数指導に目覚め、在学中より塾講師・家庭教師として数多くの子供たちを教える。森上教育研究所特設教室として宮本算数教室教材「賢くなる算数」教室を指導運営。著書、『中学受験 お父さんが教える算数(ダイヤモンド社)』『算数 計算と一行問題(受験研究社)』など。