受験で学べる「時間」の活用術…塩沢茂樹

君たちの一番貴重な財産は「お金」?「家」?「株」?

 新学年にも、そろそろ慣れ始めたころではないかな。そんな君たちに、今回は大阪のマナビレンジャーからスペシャルなアドバイスをお贈りしよう。

 今回のアドバイスはあらゆる教科学習にも有効で、君たちが受験を終えても使い続けられるものだ。しっかりと心に刻んでほしい。

 まずは君たちに質問だ。君たちは貴重な財産を持っているんだが、それは何かわかるかな?

 「お金」「家」「車」なんて答える人が多いんじゃないかな。中には「株」なんて考える子もいるかもしれない。でも、実は一番貴重なのは「時間」なんだ。「なんだ~」と思うかもしれないけど、この時間という財産は、君たちが思っている以上に貴重なものなんだ。

「時間」と「お金」…三つの違い

 そんな時間に関するアドバイスに入る前に、時間の特徴をお金と比べながら考えてみよう。

 一つ目の特徴は、私たちが手にするお金の量は増えたり減ったりするけど、試験日まで「あと1日」だった残り時間が、日程が変わらないのに「あと2日」に増えることは絶対にない。当たり前だと思うかもしれないけど、「1日」「1時間」などの時間の長さ自体が変わることはない。この特徴は忘れやすいので、よく覚えておいて欲しい。

 次に、お金は使わないで()めることができるけど、時間は使わないとどんどん消えていってしまう。今使わないお金は、郵便局や銀行などに貯金している人もいるだろう。でも、時間は貯めておくことができない。使わない時間はどんどん「蒸発」して、なくなってしまうんだ。

 最後に、お金は私たちの都合に合わせて一度に使う金額を変えられるけれども、こちらの事情に合わせて時間の進み方を遅くしたり早くしたりすることはできない。お金については節約をしたり、欲しいものを買う時に一気に使ったりできる。しかし、テストが難しくてもっと時間が欲しい場合でも、嫌なことがあって早く時間が過ぎてほしい場面でも、決められた間隔の通りに時は刻まれていく。私たちが「思ったより早かった……」「まだ終わらないのか……」と思っても、そこは変えられない。

 ほかにも違いはあるけれど、この三つの違いを知ることで、時間の大切さが少しわかってきたんじゃないかな。

時間を何のために使う…「無駄遣い」か「未来への投資」か

 では本題だ。時間のアドバイスといっても「使い方」の話ではない。君たちの中には「あなたは時間の使い方がへたね」なんて言われたことがある人もいるだろう。でも、実は時間をうまく使うのはかなり難しい。大人だってそんなに上手ではない。

 だから、今回は使い方ではなく、「何のために使うか」というアドバイスをしよう。「使う目的」を考えるということだ。この辺りはお金と似ているところがある。たとえば、無駄なものを買ってしまったときに、「無駄遣いして!」と言われるよね。時間も同じで、「時間の無駄遣い」というんだ。難しい言葉で言うと「時間の浪費」だよね。

 では、どんなことが時間の浪費なのかというと、「今やるべきではない」ことについて、「やりたい」という欲望に任せて時間を使ってしまうことなんだ。逆に、「今やるべきことや、未来の自分のために時間を使う」ことができれば、有効な形で過ごしたことになるんだ。お金の話にたとえると、「活用」「投資」ということだ。

 例えば、1時間だけ時間があり、宿題もまだ残っている。この時に「ゲームをやりたい」「テレビが見たい」という欲望を満たしてしまえば「時間の浪費」になる。一方、「宿題をやる」「余った時間を復習に充てる」ことにすれば、「時間の活用」「未来への投資」ということになる。

 「浪費」する時間をどんどん減らして、「活用」「投資」に充てる時間をどんどん増やす。まだ時間をうまく使うことはできなくても、正しい使い方が身についていく、ってわけだ。

この行動を続けていけば、夢はかなうのか?…誘惑を断ち切る勇気

 さて、どんな場合が「浪費」になるのか、どうしたら「活用」「投資」することになるのか、について判断する基準が必要だね。実は難しく考える必要はない。自分自身に「この行動を続けていけば、夢はかなうのか?」と問いかけるだけだ。

 その答えが「イエス」なら、その時間の使い方に問題はない。もし「ノー」なら……、もうわかるよね。そう、自分の行動を変えるんだ。この時に一つ注意しないといけないことがある。人はどうしても心に弱い部分がある。だから、自分に問いかけたときに「でもやりたいから」「みんなやっているから」「少しだけなら」と考えてしまいがちだ。

 そこが人生のターニングポイントだ。どちらの道を選ぶのか、日々試されているといっても過言ではない。自分自身からの誘惑を断ち切る勇気を持つことが必要だ。さあ、君たちの中にある勇気を振り絞って、夢をその手に勝ち取ろう。

受験はゴールではない…あきらめない限り、夢は必ずそこにある

 最後に大阪の学びレンジャーからのメッセージだ。

 君たちのゴールは受験ではない。もっともっと先にある。そこへたどり着くために、目前の安楽に惑わされてはいけない。

 「今日という一日を続けていけば、君の夢はかなうのか?」

 日々、自分に問いかけてほしい。未来の君たちは、今日という一日の延長線上にしか存在できない。時には負けることもあるだろう。でも、君たちがあきらめない限り、夢は必ずそこにある。努力することから逃げてはいけない。

 君たちのでっかい夢がかなうことを心から祈っているよ。

 

▽これまでのアドバイス

・合格から逆算する「受験マラソン」

・学習の「定石」を身に付ける

・過去問演習で発見「ここで間違う」

・受験ラストスパート 3つのポイント

・合格を勝ち取る「基礎の徹底」の真価

・物語文の読解練習、2つの方法

・国語のルール「どう質問に答える?」

・「正確な読解」3つのポイント

・国語の学習、語彙(ごい)力が扉を開くカギ

・受験当日は「しっかり」緊張しよう

・「頭の整理」で最後のひと伸び

・「小さな目標」積み重ねよう

・「ワクワク」は無限のエネルギーだ

・受験で「自信をつける」ために

・やる気が出ない、どうしよう

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プロフィル
塩沢茂樹  (しおざわ・しげき
 日本次世代教育総合研究所代表。大手進学塾で管理職、社員及び管理職研修を担当した経験を活かし「日本次世代教育総合研究所」を設立。また、健全な中学受験の実現を目指す「大東尚学館」の代表も兼ね、常に現場に立ち続ける。平成二十二年、二十七年度大阪府私立幼稚園PTA連合会会長。同二十七年度大東市立氷野小学校PTA会長、大阪ひがし幼稚園リーフサークル会長。一男二女の父。