小3でも解ける難関中の問題…宮本哲也氏<5>

  • 「頭を使うことで、学力は高まります」
    「頭を使うことで、学力は高まります」

 (この記事は、2014年10月24日付「トピックス」からの転載です)

 宮本哲也氏は、問題を少しだけアレンジするだけで、小学3年生でも最難関の中学校の入試問題が解けると言う。

 筑波大附属駒場中学校の2014年の算数の問題を例に、解説してもらった。

 2014年の筑波大附属駒場の問題を見てみましょう。

 試験時間が40分、大問が4題。難易度はそんなに高くないですが、見た瞬間に解き方が思いつくような問題はありません。書き出して何かを発見しないと先に進めない。そして見たことがあるような問題がほとんど出ない。つまり、いくら過去問を解きまくって、解法をすべて暗記しても、来年の筑駒の問題は解けるようにならないということです。

 今日は4題のうち、1番目の問題を取り上げることにします。

【2014年 筑波大附属駒場中学校 算数】

[1]次の問いに答えなさい。
 (1)次のように4(けた)の数が並んでいます。
  1番目の数 1111
  2番目の数 5432
  3番目の数 9753
  4番目の数 3074
    …     …

 これらの数の
 一の位は、1から1ずつ増えていく数1、2、3、4…の一の位の数です。
 十の位は、1から2ずつ増えていく数1、3、5、7…の一の位の数です。
 百の位は、1から3ずつ増えていく数1、4、7、10…の一の位の数です。
 千の位は、1から4ずつ増えていく数1、5、9、13…の一の位の数です。

(ア)100番目の数を答えなさい。
(イ)1番目から100番目の数のうち、6の倍数は何個ありますか。

 この問題を、小3でも解けるようにアレンジしました。
 まず、一段ハードルを下げるんです。やさしい問題を前に1題入れてあげれば、次に進めるようになります。

 次のように2けたの数が並んでいます。
 11 32 53 74……
 これらの数の
 一の位は、1から1ずつ増えていく数1、2、3、4……の一の位の数です。
 十の位は、1から2ずつ増えていく数1、3、5、7……の一の位の数です。

Q1)12番目の数を答えなさい。

 できない子はいないと思います。11、32、53、74、95、16、37、58、79、90、11。最初に戻った。じゃあ次は32だとわかる。4けたから2けたに、ちょっと易しくするだけで、小学3年生の子どもでも、無理なく解けるようになる。こうして書き出していくと「10個1組の組み合わせだ」とわかります。こういう発見が非常に大きいです。

Q2)1番目から12番目の数のうち、6の倍数(6で割り切れる数)は何個ありますか。

 これは順番に6で割っていけばいいんですが、いくつか計算していくと、「奇数は6で割れない」ということに気づきます。これも先に教えちゃダメです。偶数を順番に6で割っていくと、32÷6=5あまり2、割り切れない。74÷6=12あまり2、割り切れない。16÷6=2あまり4、割り切れない。58÷6=9あまり4、割り切れない。90÷6=15、割り切れた。32÷6=5あまり2、割り切れない。ということは、12個のうち6で割り切れるのは1個しかない。これも3年生で無理なく解けます。

 次の問題。今度は4けた。筑駒の前半と同じ設定です。問題だけ易しくしました。

 次のように4けたの数が並んでいます。
 1111 5432 9753 3074……
 これらの数の
 一の位は、1から1ずつ増えていく数1、2、3、4……の一の位の数です。
 十の位は、1から2ずつ増えていく数1、3、5、7……の一の位の数です。
 百の位は、1から3ずつ増えていく数1、4、7、10……の一の位の数です。
 千の位は、1から4ずつ増えていく数1、5、9、13……の一の位の数です。

Q3)1番目から12番目までの数の各けたに、数字「1」は全部で何個ありますか。

 これも、5番目以降を書き出していきます。1番目の数1111に4個あります。6番目1616に2個、11番目の数1111に4個、4+2+4、合計10個です。これも数が数えられれば解けます。計算力も必要ありません。

Q4)1番目から12番目の数のうち、8の倍数(8で割り切れる数)は何個ありますか。

 これも片っ端から割っていけばいいんです。やっぱり奇数は8で割り切れるはずがないということが、どこかでわかります。そこで、偶数だけを8で割っていきます。

 8の倍数の見分け方もありますが、教える必要はありません。5432÷8という計算が、計算問題として存在すれば、これは解く気が起こらないし、解く価値もない。ただこういう問題の中で、5432÷8という計算をしないと先に進めない、そういう目的があれば計算も楽しくやれるんです。5432÷8=679、割り切れた。3074÷8=384あまり2、割り切れない。1616÷8=202、割り切れた。9258÷8=1157あまり2、7890÷8=986あまり2割り切れない。で、5432÷8=679で割り切れるので、3個ある。

 ここから、本物の筑駒の入試問題に行きます。

Q5)100番目の数を答えなさい。

 さっき書き出したものをそのまま使えばいいんです。10個1組の周期である。100を10で割ると10。ということは、この10個1組の組み合わせが10個出てきて、ちょうど終わる。100番目の数は10個の周期のうち最後の数だから、7890になる。

 もし、小3でこれに納得できなければ、100個書かせればいいんです。無駄ではないです。やっているうちに、こんなの書かなくてもいいんだと気づきがあります。そういう気づきがとても大事なんです。

Q6)1番目から100番目の数のうち、6の倍数は何個ありますか。

 これもさっきやったとおり、偶数を片っ端から6で割っていく。10個のうち、割り切れる数が2個ある。100÷10で10、同じことを10回繰り返すわけですから、2×10で20。というふうに出ます。

 こういうふうにすれば、小3でも筑駒の入試問題が解けるのです。家庭でやるのは、おそらく非常に大変だと思いますが、実際の筑駒の入試問題も、このように1個ずつ書いていけば同じように解けるということです。

 学力を高める一番いい方法は、こういう問題にうんと頭を使うこと。時間無制限で、解けなくてもいいんです。解けなかったら無駄じゃないか? 無駄じゃないんです。頭を使っていればそれでいいのです。(終わり、構成・メディア局編集部 小倉剛)

プロフィル
宮本 哲也(みやもと・てつや)
 早稲田大学第一文学部卒業後、当時日本一の進学塾だったTAPに入社。SAPIX横浜初代教室長を経て、1993年、横浜に宮本算数教室設立。2009年に教室を東京に移し、今日に至る。2006年に出した「賢くなるパズル」(学研)はシリーズトータルで220万部を越えるベストセラーに。「賢くなるパズル」のメインである「計算ブロック」は英名KenKenで、世界10か国で翻訳出版されていて、読売新聞、NewYorkTimesなど国内外の多くの新聞、雑誌に連載されている。2015年から活動の拠点をアメリカ・ニューヨークに移す予定。