中学受験で塾に通わないという選択はありか?…おおたとしまさ<5>

 【中学受験必“笑”法】中学受験に「必勝法」はないが「必笑法」ならある。結果を勝ち負けと捉えるのではなく、自分たちが「やって良かった」と思える中学受験にすることが大事。人と比べない中学受験、頑張りすぎない中学受験、子供を潰さない中学受験のすすめ。

塾を利用しないデメリットは「不合格」ではない

  • 塾を使わない受験のリスクは、過大な「負荷」(画像はイメージ)
    塾を使わない受験のリスクは、過大な「負荷」(画像はイメージ)

 塾に通わないと中学受験はできないのか、と聞かれることがたまにある。

 できる範囲での無理のない対策で入れるところに入ろうというのであれば、塾に通わずに受験してみるという方法もなくはない。首都圏では、私立中学の募集定員の総数と中学受験生の総数がほぼイコールで、理論上、えり好みしなければ、どこかの中学には入れるはずである。

 しかし、難関中学を目指すというのなら、子供の地頭がよほど良いのでない限り、塾をまったく利用しない中学受験は現実的ではない。

 世の中には塾に通わず中学受験をし、見事、難関校に合格したという「美談」もあるにはある。しかし、それは非常に危険な賭けといっていい。合格・不合格を賭けているのではない。プロの力を借りない中学受験では、親子に、特に子供に、多大な負荷がかかる危険性があるのだ。

中学受験勉強はゴールのわからないマラソン

 小学3年生の2月から塾に通い始めるのが、現在の中学受験の最もオーソドックスなパターン。つまり、中学受験勉強はちょうど3年間におよぶ長丁場の試練なのである。

 例えるならば、小学生にとって受験勉強とは、ゴールまでの距離が分からないマラソンであり、「自分で考えて、とにかくゴールまで走り続けなさい」などということはほとんど拷問に等しい。肉体よりも先に精神がやられてしまう。

 そこで、現在地からゴールまでの距離と方角を知っていて、期限までの日数で毎日走るべき距離を割り出し、ペース配分を考えてくれる「コーチ」が必要となる。それが中学受験塾の役割だ。

 ゴールまでの距離も方角も分からない小学生に対し、コーチは毎日、「とりあえず今日はあそこの電信柱まで全力疾走してみよう!」などと指示を出す。小学生は「うん、分かった!」と、夢中になって電信柱を目指す。近くに見えていた電信柱が意外と遠くにあることもある。途中で転んでしまうこともある。なんだか調子が悪く、うまく走れないときもある。

 戸惑いながら走る小学生に対してコーチは、「今日はうまく走れていたよ!」とか、「あれ? 今日は何だか元気がなかったね」などと声をかけながら、「じゃあ、明日はあそこの橋のたもとを目指そうね」などと、新たな目標を常に与える。ゴールまでの距離から逆算して、そのときどきの子供の体力ややる気も考慮して、短期目標を設定してあげるのだ。長年の経験と客観的視点がものをいう。

 子供はとりあえず、ゴールのことは気にせずに、与えられた目標に向かって一生懸命、走ればいい。コーチは、それを毎日続けることで、いつの間にかとてつもない距離を子供に走破させ、子供の目にもゴールが見える場所まで導く。

 最後は子供自らがゴールに向かってラストスパートする。それが中学受験までの3年間なのだ。

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