<イタリア>アントニオ・マラスの世界に触れる展覧会

 アントニオ・マラスはロマンチックでどこか懐かしい作風で知られるファッションデザイナーだ。1961年、地中海のイタリア・サルデーニャ島に生まれ、現在も島のアトリエで制作を行う。過去にはパリのブランド「ケンゾー」のデザイナーを務めたこともある。


  • (c)Daniela Zedda
    (c)Daniela Zedda

 ミラノ市内の「ラ・トリエンナーレ・ディ・ミラノ」で21日まで開かれている彼の展覧会は、その才能を十分に堪能できる内容だ。

 天井からつり下げられた白いシュミーズが、ランプのようにあたりをほのかに照らす作品=写真=。故郷の女性たちがかつて洗濯する際にはいたというプリーツスカートを重ね合わせて作ったツリーのような展示。独自の装飾感覚を持ち、ショーの舞台演出や店舗の内装でも優れた才能を発揮してきた、彼ならではの創造性を感じさせる。

 学校の教室風のインスタレーションもある。薄暗い照明のもと、古びたつぎはぎだらけのぬいぐるみを椅子に座らせ、どこか恐ろしい雰囲気を醸し出している。壁面には、女性の肖像画などこれまでに描き続けてきた沢山のスケッチや水彩画が並ぶ。

 展示されている作品数は絵画だけで500点以上。展覧会のタイトルにもなっている「片時たりとも絵筆を手放さない」創作姿勢が伝わってくる。同時に、さまざまな要素を融合させ独自の世界を作り上げていくマラスの感受性を読み取ることができる。

 (矢島みゆき ファッションジャーナリスト)