<アメリカ>大統領就任式と色の意味

 1月の米大統領就任式に際して、色が持つ意味や役割を考えさせられた。式典に出席したヒラリー・クリントンさんの白いパンツスーツや、トランプ大統領の女性への差別的発言に抗議する「女性の行進」で参加者たちがかぶっていたピンクの帽子が印象的だったからだ。


 ヒラリーさんが、ラルフ・ローレンさんデザインの白いパンツスーツに白のコート姿で登場すると、米国メディアは「女性参政権運動のシンボルカラーを身につけた」と一斉に報じた。

 欧米では、白は19世紀後半から強まった婦人参政権運動のシンボルカラーとされる色だ。彼女は昨年、女性初の民主党大統領候補者としての受諾演説のときも白のパンツスーツ姿=写真=だった。選挙期間中は、女性支持者らが「白を身につけて投票所に行こう」と有権者に呼びかけた。

 ヒラリーさんは、今回の式典でも白を着ることで、政治の世界における女性の声の重要性を無言のうちに表明したといえる。

 式典では、トランプ大統領の娘、イバンカさんも白い服だった。就任式の夜に行われたパーティーでは大統領夫人のメラニアさんも真っ白なドレス姿だったが、共和党のシンボル・カラーである赤のリボンをウエストに使っていた。彼女らなりの考えがあったように思える。

 ファッション工科大学美術館のバレリー・スティール館長は「色は人々の結束を高める手段の最たるもの」と話す。14世紀ヨーロッパの王侯貴族たちは家臣たちに忠誠心と連帯感を持たせるため、同じ色の服を着せた。これが今日の制服の元になったという。団結心や自分の考えを視覚的に表現できる色の力は侮れない。

 (森光世、ファッションジャーナリスト)