2011年

被災地の母へ 励まし広がる…発言小町大賞2011

ラジオ童話の作品名探し

  • イラスト・山崎のぶこ
    イラスト・山崎のぶこ

 インターネット掲示板「発言小町」に投稿された話題から、今年最も心に残ったものを選ぶ「発言小町大賞2011」が決まった。東日本大震災で子どもを亡くした母親が、ラジオ番組で朗読された童話のストーリーに心ひかれ、その作品名をみんなで探し当てるまでのやりとりが大賞に輝いた。被災者のために少しでも力になりたいという思いがネット上でも広がった。

 投稿者の女性は今年5月、震災で「子どもが2人、天国へ旅立ってしまいました」と書き込んだ。仕事先から急いで戻ったが間に合わなかったという。「母として何もできなかったこと、なぜ一緒にいてやれなかったのかと、子どもたちに謝りたい気持ちでいっぱいです」

 そんな時、聞いていたラジオから流れてきた3匹の馬の兄弟の話が心に響いた。取りえがないと悩む末っ子を兄たちが優しく見守り、最後は冷たくなって横たわる末っ子が翼をもらって空にかけあがる物語。「せめて子どもたちが旅立つ時、自由に大空に羽ばたき、今も天国でたくさん遊んでいると思いたい」とつづり、「タイトルなどを教えて」と呼びかけた。

 これに対し、「ラジオ局に問い合わせてみて」といったアドバイスや、数多くの励ましの声が寄せられた。

 「何か言葉を贈りたいけれど今の気持ちを表す言葉が見つかりません。でも、きっとお子さんたちはきょうだいで仲良く手をつないで空を飛んでいると思います」

 「天国に行ってもママや家族との思い出はその子たちから離れることはありません」

 被災者からも反響があり、「私たち生き残った者は、一生懸命に生きていくしかないのです。『もう頑張れない』と思った時は大声で泣いていい。それを繰り返してちょっとだけ前に進んで、天国のお子さんにまた笑顔を見せて安心させてあげましょうね」。

 こうした意見や、作品の手がかりなどの情報が寄せられる中、ある投稿から、この童話が歌手のEPOさんが作った「光になった馬。」とわかった。EPOさんが担当する仙台のFMラジオ局の番組で放送され、夫で俳優の宮川雅彦さんが朗読したという。

 「震災でつらい状況にいる人に、ほっとできる番組を届けたかった。思い入れのある作品が他の人の心に響いてうれしい」とEPOさん。発言小町でのやりとりはファンから聞いていたそうで、「温かい言葉が飛び交い、ネット上に広がるみんなの愛が見えるようでした」と話す。

 「光になった馬。」はEPOさんがライブなどで披露していたが、発言小町での作品探しがきっかけになり、この秋に主婦の友社からCD付きの本が出版された。

 京都大学こころの未来研究センター准教授の内田由紀子さんは、「震災前後のアンケートで、若者の約半数は震災で他者との結びつきを見直し、被災地に思いをはせる傾向があることがわかりました」と指摘する。「そんな共感力が人間同士の温かい絆を生み出す。それがつらい状況を乗り切る力になるのでは」と内田さんは話している。