小町拝見

イライラ、「ごほうび」で解消…香山リカ

 仕事でのいらだちをどうするか。古くて新しい問題だ。職場の上司にものすごく腹が立つ、といったトピ「仕事中のイライラ」でも、「仕事なんだから仕方ない」と冷めたレスしかついていなかったようだ。「どうにもできない」「あきらめるしかない」と思っている人が多いのかもしれない。

 診察室でもこの「イライラ」の相談は結構ある。そのつど「自分を観察するカメラがあると想像して、『お、今日は結構イライラしてるな』などと自分にツッコミを入れてみてはどうでしょう」などとアドバイスする。また「イライラは発生した瞬間がピークなので、深呼吸しながら数をゆっくり五つ数えるだけで、発生時より軽くなるはずです」などとも言う。

 そして同時にいつも、「自分はどうだろう」と振り返る。私はどちらかというと鈍いほうなので、その場では他人の言動にイライラすることは少ない。ただ、家に帰って寝る頃になって「あれ? もしかして私、バカにされたのかな」と気づいてイライラしてくることがよくある。しかし、そう気づいたからといって今さら相手に抗議することもできないので、「まあ、イライラするだけ損か」と自分に言い聞かせてなるべく楽しいことで心を埋め合わせるようにしている。

 解決できないイライラは、あえて原因から解決しようと思わない。そして、何かほかのことでそれを消すことを考える。ある感情は別の感情でシンプルに上書きされることもあるので、上司の態度が原因のイライラを、仕事の後のフルーツパフェで消し去ることもできるはずだ。イライラした日は、「自分へのごほうび」をいつもよりひとつ多く自分にあげる。甘いものでもステキな音楽でも。ぜひ試してみてください。

香山リカ(かやま・りか)
 精神科医、立教大教授。1960年、北海道生まれ。豊富な臨床経験を生かし、新聞やラジオ、テレビなど様々なメディアで、現代人の心の問題について発言している。