小町拝見

若い頃より今の方が豊か…ジェーン・スー

 先日、44歳になりました。まごうことなき中年女性、俗に言う「おばさん」です。20代、30代のような頑張りが利かなくなる場面が増え、なるほどこれが「老い」のとば口かとしみじみします。


 毎日はとても楽しいのです。強がりでもなんでもなく。では、なにがしんみりするのかと言えば、容姿、体力、物覚え、フットワークなどが格段に低下したと一度に体感するのが、生まれて初めてだからでしょう。

 小町では、誕生日を迎えたばかりの45歳の女性が「もう、おばさんだから」の一言を免罪符のように使っている自分に気付いた、というトピがあがっていました。本音は、まだ諦めたくないのだそうです。


 ※トピは⇒こちら


 私の場合「もう、おばさんだから」と口に出すことはありませんが、「まぁこんなもんか」と早めに諦めることは増えたように思います。40歳になったばかりの時は戸惑うばかりでしたが、今となっては少しばかり物わかりの良いフリをし過ぎている。本音では、トピ主さん同様なにも諦めたくはないのに。

 正論としては、何歳になっても自分の可能性を諦める必要はないと思います。しかし、「若い頃と同じように」という点では諦めざるを得ない場面も必ずあり、正論だけでは心がつらくなってしまう。

 そんな時、私は「25歳に戻りたいか?」と自分に問いかけます。今の経験値のままではありません。すべてがあの頃の状態に戻ると仮定するのです。

 答えは絶対にNO! 自意識との葛藤や、経験不足からくる失敗の数々を思い出すと身震いがします。

 あの頃はあの頃で、足りなかった。そう考えると、いまが豊かに思えてきます。「おばさん」とは失った者の象徴ではないのです。

ジェーン・スー
 作詞家、コラムニスト。1973年、東京都生まれの日本人。「未婚のプロ」を名乗り、「貴様いつまで女子でいるつもりだ問題」(幻冬舎)などの著書が話題に。