小町拝見

問題文への素朴な疑問…俵万智

 中学3年の受験生が理科の問題を解いていて、ふと疑問に思い、こんなトピを立てていた。「『上がる』と『高くなる』(理科)


 気温や気圧がどうなるかという問題に対し、「上がる」という解答もあるし「高くなる」という解答もある。どちらでも正解なのか、使い分けの基準はあるのか……。

 素朴な疑問だが、言葉の問題として盛り上がっていた。さまざまな角度から、大人たちが親切に答えているのも、ほほ笑ましい。

 「どちらでもオッケー」という意見が多いが、「テスト内統一性を保つべし」というアドバイス(問題文に合わせる。自分の解答も統一する)には、なるほどと思わせられる。

 「気温が昨日5度、今日8度、平年の気温が15度だとすると、今日は気温が上がる、とは言えるが、気温が高くなる、には違和感がある。平年よりも数値は下ですから」という意見も面白い。

 以前、小学生の息子が、算数の文章題でいちいち引っかかってしまった苦労を、思い出した。「ジェットコースターに並んでいる人が9人、観覧車に並んでいる人が27人います」「……。これ、逆じゃない? 絶対ジェットコースターのほうが並んでいる人多いって」

 「416冊の本を、同じ数ずつ8箱に詰めます。一箱に何冊ずつ詰めればいいでしょう」「本ってさあ、分厚いのと薄いのとあるじゃん。オレの予想だと入りきらない箱もあるな。その時はどうすんの?」。一問一問こんなふうで、なかなか宿題が進まない。

 「おまんじゅうが8個あります。5個食べたら、どうなりますか?」「次は、せんべいが食べたくなる」と答えた子もいたっけ。算数でなければ、正解だ。

俵 万智(たわら・まち)
 歌人。1962年、大阪府生まれ。24歳で出版した歌集「サラダ記念日」がベストセラーに。96年から読売歌壇選者。近著に「旅の人、島の人」(ハモニカブックス)など。