小町拝見

マッサージ どこまで脱ぐか…俵万智

 ちょっとしたことを気軽にけるのも、発言小町のいいところ。「初めてはり治療受けます。」というトピでは、「どこまで脱がなければならないのか」という不安が、またたくまに解消されていた。

 経験者にとっては、なんでもないようなことだが、不安なまま行くより、ずっと心強い。

 私も長年、肩こりに悩まされていて、昨年引っ越して以来、近所のタイ式マッサージ、リラクゼーションサロン、鍼灸しんきゅう院、肩もみチェーン店など、いろいろと試して、最近ようやく「ここに決まり!」という鍼灸院に落ち着いたところ。なので、思わずこのトピックに目がいった。

 初めての店に行く場合「どこまで脱ぐか問題」は、けっこう重要だ。私がこの1年で経験したなかには「全裸」もあって、びっくりした。いわゆる健康ランドのようなところに付属しているマッサージ施設で、オイルマッサージを予約してみた。それを予約すると入浴料がタダになり、よーく温まってから施術するというので、これは期待がいやがうえにも高まる。

 大浴場のとなりに個室があって、手術台みたいなベッドが置かれ、「風呂から上がったらそこへ」とのこと。「え、直接ですか?」「はい」

 つまり、全裸。施術は若い女性によるものだったが、特にバスタオルをかけるでもなく、使い捨ての下着のようなものが用意されているわけでもない。ガシガシとオイルを塗って、体の表も裏も念入りにんでくださるのだが、さすがにこれは落ち着かなかった。特におもて面?は恥ずかしくて、固く目をつぶってしまった。が、こちらが目をつぶっても意味がない。人は、思いがけない事態に遭遇すると、ヘンなことをするものだ。

俵 万智(たわら・まち)
 歌人。1962年、大阪府生まれ。24歳で出版した歌集「サラダ記念日」がベストセラーに。96年から読売歌壇選者。近著に「旅の人、島の人」(ハモニカブックス)など。