小町拝見

恋愛に復活なし 前向いて…香山リカ

 女性誌にはよく「占い」の広告が載っているが、その“ご利益”として最も多くあげられているのが「復縁」だ。つまり、別れた恋人とのヨリを戻したいという女性が大勢いるのだ。


 とはいえ、恋愛における「復縁」はむずかしいことはみな知っている。「26歳のときの恋愛を引きずっている」という30代女性のトピもあったが、多くの人が「無理です」「未来にもっと希望を」と終わった恋愛から離れるようにアドバイスしていた。

 人間は、記憶を脚色する生きものだ。過去のトラウマにせよ、良い思い出にせよ、本人が語ることと家族などが語ることにあまりに差があり、「どっちがホント?」とわからなくなることが診察室でもしばしばある。精神分析家のフロイトは、事実かどうかは別にして本人がそう思っているならそれを「心的現実」として扱うべし、と言ったが、そこにこだわりすぎるのは本人にとっても危険だ。

 終わった恋愛はときとして美化され、「あんなに私にあった人はいなかった」と別れた人との「復縁」を望みがち。でも、理由はどうあれ、一度、別れたということはふたりの間になんらかの決定的な問題があったのだ。万が一、昔の恋人に再会したとしても、「あれ、こんな人だっけ」となることはほぼ間違いない。

 これは精神科医としてではなく、人生も後半戦に入った人間として言うのだが、友情は復活しても、恋愛に復活はない。もしまた恋をしたいなら、前の恋愛の失敗を生かして、今度こそは自分にあった人を探すことをおすすめしたい。

 それからもうひとつ、SNSなどで別れた恋人の消息をいつまでもチェックするのもやめなさい、と言っておきたい。恋愛は常に前向きで。これしかないのだ。

香山リカ(かやま・りか)
 精神科医、立教大教授。1960年、北海道生まれ。豊富な臨床経験を生かし、新聞やラジオ、テレビなど様々なメディアで、現代人の心の問題について発言している。