小町拝見

「異性とのお酒」ありかなしか…香山リカ

 「恋人ではない男女ふたりでお酒」はありかなしか。これは、男女で友情は成立するか、という永遠の問題の応用編だろう。


 女性も社会に進出し、少なくとも社会的な場面では「男が、女が」という区別さえなくなってきたのだから、当然そこには友情や同僚愛のようなものもある、と思っていた。私自身、大学の同僚との帰り道で話が弾み、「一杯だけ」と飲食店に入って話の続きを、ということもある。自分も相手もいま飲んでいるのが異性だとすら意識していないのではないか、と思う。

 しかし、「彼氏がいるのに男性と二人で飲むことについて」と、異性とのお酒の是非を問うトピには、否定的なコメントが多かった。「その場面を相手のパートナーが見たらどう思う」といったレスがあり、「そうか、自分たちは友人のつもりでも、周りにはそう見えない場合もあるのか」と私も気づかされた。

 もちろん、異性同士のお酒の場合、いくつかルールはあると思う。飲酒で気が緩み、ボディータッチが多くなるのはダメ。パートナーに「今日なにしたの?」ときかれたら、きちんと話す。友情のつもりでも相手はそうじゃなさそう、とわかったら場を切り上げる。

 また、誘う側も相手に異性としての興味があるのに友情や仕事の話をちらつかせるのは、ルール違反だ。私の場合、若い頃、「研究のことで相談したい」と先輩に食事に誘われ、勇んで出かけたら研究の話は口実だった、という経験をしたことがある。そのときは、自分が研究者として評価されたわけではなかったと知って、二重に落ち込んだ。

 ちょっとしたルールを守り、男女でもさわやかにお酒を楽しめればいいのに、と思う私だが、それはやっぱり甘すぎるだろうか。

香山リカ(かやま・りか)
 精神科医、立教大教授。1960年、北海道生まれ。豊富な臨床経験を生かし、新聞やラジオ、テレビなど様々なメディアで、現代人の心の問題について発言している。