小町拝見

献立は完璧より面白さ…杉上佐智枝

 「シチュー、餃子ギョーザ、塩サバ」というトピ、我が家のことかと思った。この三つの料理は、トピ主さんのお母様が用意した夕食だ。ありがたいと思いつつ、その組み合わせに違和感を隠せないお気持ち、お察しする。私の母は、胃腸炎で伏せっている娘の見舞いにコロッケを持ってくる人。ファンキーで斬新、と私は表現する。料理でも奇想天外な献立は日常茶飯事。シューマイとカルボナーラ。チキンライスにみそ汁。


 「大根入りのカレー、初めて!」。高校時代、友人は目を丸くした。母が出したカレーには大根が入っていたのだ。友人は20年たった今でも「大根カレー、食べてる?」と聞いてくる。我が家で食事をした父の友人は、餃子の中からどろりとカレーが出てくる神秘体験をした。だがある意味、カレー一つでここまで皆に話題にされるというのは、すごいことかもしれない。

 母がもし、完璧に食事を用意する人だったら、自分も同じ立場になった今、大きなプレッシャーになったのではないか。「ママみたいにできないと……」と自分を責めていたかもしれない。奇妙な取り合わせのおかずに、家族から総ツッコミを受けても、「あらまあ、和洋折衷よ」と笑う母が、食卓を明るいものにしていたことは間違いないのだ。完璧より面白い方がずっと貴重。何より周りを楽にする。そう思うようになった。

 長崎県出身の夫を初めて両親に紹介した食事会でのこと。食事が一通り済んだ後、母がおずおずと風呂敷包みを広げた。中には、前日深夜までかかって手作りしたカステラが1本。母の斬新な感覚ならではのインパクト。人生で初めてカステラにロウソクをさし、吹き消した経験を、受け取った思いを、夫と私は一生忘れることはないだろう。

杉上佐智枝(すぎうえ・さちえ)
 日本テレビアナウンサー。1978年、東京都生まれ。「キユーピー3分クッキング」の土曜日の回などを担当。2児の母で、絵本の読み聞かせなどに関する資格を勉強中。