私の「発言」

(3)小町で人生の経験値アップ…コラムニスト・犬山紙子さん

  • 「読むたび、秀逸なタイトルに驚かされてばかりです。発言小町は人が集まってワイワイやっているとき特有の『熱量』を感じますね」
    「読むたび、秀逸なタイトルに驚かされてばかりです。発言小町は人が集まってワイワイやっているとき特有の『熱量』を感じますね」

 ――「発言小町」は写真もない、テキストばかりの掲示板です。フェイスブックなどのSNSでは写真投稿が盛んで、ウェブサイトもビジュアルを重視したものが多い中、物足りなくはないですか?

 犬山紙子さん)全然そんなことないですよ。むしろ、全然関係ないネコの写真とかでアクセスを稼ごうとしたり、写真で笑わせようとしたり、そういうのは他にいっぱいあるので、もうみんなちょっと食傷気味だと思うんです。小町はテキストだけで笑わせる“力”があるので、逆にすごいなあと思います。ユーザーの皆さんは、書き込めば書き込むほど面白くなるというか、文章力が付いてくるんですかね。聞いてみたいな。

ユーザー同士が切磋琢磨

 ――犬山さんはブログ「犬山紙子のイラストエッセイ」を書いたり、ツイッターでつぶやいたりされていますね。

 犬山)そうですね。ブログを始めた頃は読み手を意識しておらず、全然アクセス数がなくて。そこで、読み手を意識して、情景が浮かびやすいようにイラストを添えたり、人気のあるジャンルのエピソードを書いてみたり。するとだんだんアクセス数が増えるようになりました。私は、基本自己顕示欲が強いので、「面白いと思われたい」とか、そういうことばかり考えていました。

 ――小町で参考になることはありますか?

 犬山)まずタイトルの付け方ですね。もう本当に上手。思わず「え? 何これ?」って読んでみたくなりますよね。

 ――発言小町には毎日100本くらい新しいトピが立つので、その中で読んでもらうためにはやっぱりタイトルが大事ですよね。

 犬山)100本ですかー、すごく厳しい競争ですね。女性たちがパソコンの前で切磋琢磨(せっさたくま)している姿が浮かんでしまいました。あとは読み物としても本当におもしろい。下手な小説よりも波乱万丈でドラマチック。「映画の1本でもできるんじゃない?」と引き込まれるトピもありますよね。

小町で「女の人生」を経験

 ――犬山さんは「発言小町」のトップページを開いて、まずどこから読みますか?

  • 犬山紙子さん(東京都内で)
    犬山紙子さん(東京都内で)

 犬山)私はやっぱりランキングをチェックしますね。ここで他のユーザーの皆さんがたくさんレスを書いていたり、「お気に入り」「面白い」と推していたりするものはやっぱり間違いなく“良いトピ”ですよね。

 ――小町で初めて知ったことなどもありますか?

 犬山)いっぱいありますよ! 一般常識的なマナーや知識とか、「そういうことで悩んでいる人もいるのか」とか。

 人生、経験がないと分からないことって多いですよね。でも小町を読んでいると、直面してもいないのに「ママ友との付き合い方」とかめっちゃ詳しくなります。読んでいるうちに勝手に人生経験を積んじゃっている。私なんてもう、「結婚して出産して、2人くらいの子どもを育てていて、(しゅうと)の介護もして、お(しゅうとめ)さんとはすごいバトル状態で、そして夫は1回くらい浮気している」……そのくらいの気でいるんです。また、どんな話が客観的にウケが良くてウケが悪いのかも小町でなんとなくわかりました。これは私が仕事をするうえで結構大切なことだったりして。

 ――犬山さんは人間ウォッチが好きだそうですが、小町でもぜひウォッチしてください。

 犬山)もう、最高のフィールドですよね。全てが生々しくてむき出しですもの。私が人から聞き出すのには、一緒にご飯を食べたりお酒を飲んだりして、自分も腹を割って話して、という作業が必要ですが小町だとそんな作業がいらない。匿名なのでリアルな場ではとても出せない感情やお悩みがボロボロ出ていますしね。でも、小町はそんなちょっと「重い」話もあるけど、中には本当に天然ボケの人がいて、涙が出るくらい大笑いすることもできる。ただただ重いだけでない、喜怒哀楽が凝縮されているからどんどん読めてしまうのだと思います。

 また、人がいっぱい集まっているとき特有の「熱量」があると思います。これからもその熱量を感じに来たいと思います。(文・内田淑子、写真・高梨義之)

プロフィル

 犬山紙子(いぬやま・かみこ) 1981年生まれ。大学卒業後、仙台市の出版社でファッション誌の編集を担当。家族の介護を機に退職し、ニート(若年無業者)生活を送りながら書いたブログがきっかけで2011年、「負け美女 ルックスが(あだ)になる」(マガジンハウス)を出版した。バラエティー番組にも多数出演している。2014年12月発行の女性誌「an・an」(同)で、「これからの日本を楽しくする105人」に選ばれた。柴犬好き。