私の「発言」

(1)小町は「総姑」状態…コラムニスト・犬山紙子さん

  • 「みんな『ちょっと言わせなさいよ!』という姑心があるんでしょうねー。発言小町はそれが出せる。本音って本当に面白いですよね」
    「みんな『ちょっと言わせなさいよ!』という姑心があるんでしょうねー。発言小町はそれが出せる。本音って本当に面白いですよね」

 容姿は抜群。なのになかなかいい恋愛ができない――そんな「負け美女」たちの存在を世に知らしめたコラムニスト・犬山紙子さんは、テレビでも、美しい容姿とは裏腹の豪放な言動で注目を集めています。

 今回の「私の『発言』」は、掲示板「発言小町」に集まる女性たちについて、犬山さんの見方を、その歯に(きぬ)着せぬ物言いで斬ってもらいました。

美人の不幸は蜜の味!?

 ――「発言小町」を見たことはありますか?

 犬山紙子さん)ありますよ。まだ彼氏がいなくて、女友達とよく飲みに出かけていた頃、ある友人から「これ面白いよ」と教えてもらったのがきっかけだったと思います。禁句を言ってしまうインコの話(「『禁句』を連呼するセキセイインコ・・・どうしたら?」)とかの投稿は忘れられません。女性の本音が思い切り感じられるトピも引き込まれますが、ほっこりネタもいいですよね。

 ――その当時と結婚された今とでは、小町の見方は変わりましたか?

 犬山)それはありますね。独身のころによくチェックしていたのはやっぱり恋愛系。自分に直接アドバイスがほしいわけではないんだけど、「どうしようこのさみしさ……」みたいになったときなど、「他の人はどんなかな」とつい読みふけってしまいました。

 そして「私よりもツライ人がいるなあ」と、ある意味うっぷんを晴らしたり、どうしようもない男に未練タラタラの相談に「ダメよ!」と誰かが言ってくれるのを見て、「やっぱりそうだよね」と確認したり。「負け美女」が話題になったときも感じましたけど、やっぱり他人、特に美人の不幸は蜜の味なんだなーと思います。

 ――最近よく読むジャンルはどのあたりですか?

 犬山)30歳代になってからは、本当に体調を崩すことが増えて、めっきり健康系に走ってしまいました。2012年に卵巣嚢腫(のうしゅ)になったんですが、そのときもGoogleなどで病名を入れて検索すると、発言小町のトピが結構多くひっかかってきて、つい読んでしまいました。

 恋愛や親子関係などの相談には厳しい意見が多いこともありますが、病気のトピではとても優しくて。同じ病気にかかったことのある人が、「不安に感じますよね」とか自分の体験からアドバイスをしてくれるので、とても参考になりました。手術のことも、ポジティブな意見に触れることができてちょっと安心になったんですよ。

 病気の体験は、みんな「話したい欲」を持っているのかなと思います。でも特に婦人科の病気などは、なかなか身近な友人には話しにくい。それで、小町で欲求を満たしているのかも。でもホントありがたいです。

 実は今も腎臓に結石があって……すごく痛いっていうじゃないですか! もうすごく心配で心配で。出産と結石の両方を経験した友人に話を聞いたんですけど、痛風や頭痛などと合わせて「3大激痛」っていうらしいですよね。今はまだ大丈夫なんですけど、テレビの収録中に急に痛み出したらどうしようかと思って……もう、とにかく聞いてみたい。こっそり相談しているかもしれないので、優しくアドバイスしてやってください。

老いも若きも小姑のよう…

  • 犬山紙子さん(東京都内で)
    犬山紙子さん(東京都内で)

 ――小町ユーザーって、どんなイメージがありますか?

 犬山)そうですねえ……最近世の中全般に対して、「一億総(しゅうとめ)状態」なんて言われますが、小町はずっと「姑感」があるなあと思っていました。姑臭がプンプンしますよね。たぶんユーザーの皆さん、若い方もたくさんいらっしゃると思うんですけど、年齢に関係ないんでしょうね。「小姑(こじゅうと)っぽいことを言いたい」というひそかな欲求をうまく解放できる場なのかもしれません。

 ――ちょっとチクリと言ってみたい。

 犬山)そうそう。リアルな人間関係の中だと、あまりチクチク言うキャラになりすぎると、周りが引いてしまいますよね。ちょっと付き合いづらいタイプ。ネットなら平気です。

 あと、姑感が漂う理由は、「私のほうが経験も知識も豊富。だから教えてあげる」「耳が痛いことを言うのもあなたのためよ」というような気分が行間ににじむレスが多いからかなあと思います。すごい上から目線。一種のマウンティングですよね。

 でもそういう世間の声、「本当はこう思われているんだ」と知ることは、実は本当に大事ですよね。そんな声に触れて、それから実際の友達と会うと、そこまでキツイことは言われないので「友達優しい」って思えますしね。

 ――でもユーザーの皆さんは、結構時間をかけて書き込んでくださっているんですよね。何か報酬をお支払いできるでもないのに。

 犬山)そうですよねえ。でも、人に何かを伝えるのってすごく気持ちいいんだと思います。トピ主さんのことを褒めたり、同情したりするにしても、けなすにしても、書くことでスッキリできる。少しでもトピ主さんの役に立てる内容なら、特にそうですよね。

グッとくる人間の「プチ間抜け」さ

 ――最近気になったトピはありますか?

 犬山)この年末年始は、結婚後初めてのお正月だったので、「義実家での過ごし方」に関する投稿は、かなりチェックしました。あと最近は、男性の方からの投稿も多いですよね。

 ――そうですね。投稿はまだまだ女性のほうが多いですが、読んでくださっている方は男性の割合も高くなっています。

 犬山)男性からの投稿で「離婚した元妻が1年ぶりに私の前に現れました」というのがありましたが、「どうしたらいいですか」とすごく真剣に問いかけていらっしゃるのが伝わりました。途中「多くのご意見ありがとうございます。すごく助かっています」というレスもあり、トピ主さんとユーザーの皆さんの良い関係を見られた気がします。

 あとは、「常連なのに、開店の記念品がもらえませんでした(駄)」というトピも好きでした。自分は常連だと思っていたお店がリニューアルオープンしたとき、記念品をもらえなかったという話で、お店のオープンで配られる「記念品」ってそんなに高価なものでもないですよね。それをもらえなかったからといって不満を感じてしまう……その気持ちはすごく分かる気もするけど、「ちっちぇー」とも思ってしまいます。

 でも、こういう本音って、なかなかご近所の立ち話だと口にしにくい内容かもしれませんよね。このトピは何というか、“間抜けなかわいらしさ”みたいなのが感じられて、「人間っていいな」という気持ちになりました。プチ間抜けな話も大好きです。「この正直者!」と思いながら読んでます。

プロフィル

 犬山紙子(いぬやま・かみこ) 1981年生まれ。大学卒業後、仙台市の出版社でファッション誌の編集を担当。家族の介護を機に退職し、ニート(若年無業者)生活を送りながら書いたブログがきっかけで2011年、「負け美女 ルックスが(あだ)になる」(マガジンハウス)を出版した。バラエティー番組にも多数出演している。2014年12月発行の女性誌「an・an」(同)で、「これからの日本を楽しくする105人」に選ばれた。柴犬好き。