私の「発言」

(3)本当に女性を見たらナンパするの?…パンツェッタ・ジローラモさん

  • 「大人同士の恋愛なら、『好きになったら、気持ちをそのままぶつけてみよう』というのは間違いだと思うよ。相手の気持ちをまるで考えていないからね」と話すジローラモさん
    「大人同士の恋愛なら、『好きになったら、気持ちをそのままぶつけてみよう』というのは間違いだと思うよ。相手の気持ちをまるで考えていないからね」と話すジローラモさん

 ――ジローラモさんは、「発言小町」のような匿名の掲示板で、恋の悩みなどを相談してみたいですか。

 ジローラモ)どちらかというと、相談にのってあげたいほうかな。ネットじゃなくても、よく相談を受けるんです。

 ――そんなときは、やはり「当たって砕けろ」という感じで背中を押してあげるんですか?

 ジローラモ)いやいや、その人の話をよく聞いて、状況に応じてアドバイスをしてあげるよ。

 ――意外に慎重なんですね。「イタリアの男性は、女性を見たらナンパする」とも言われますし、「恋愛はどんどんすべし」というスタンスかと思いました。

 ジローラモ)そう言われますね。実際、「恋愛をするのは、呼吸をするのと同じくらい、生きていくうえで必要なもの!」と考えているイタリア人は多いと思います。でも私は小さいころから本当に恥ずかしがり屋で、好きな女の子がいても「好き」ということなんてもちろんできなかったし、デートする前には「会ったらまずこう言おう」とか「この場所でキスしよう」とかあれこれ計画を立てていたけれど、実際に会ったら何もできないというパターン。プレーボーイじゃないと心配になったのか、見るに見かねた父に鍛えられたんですよ。

 ある日、車に父と一緒に乗っていたところ、急に車をとめて「あの女性の電話番号を聞いてこい!」って。私はその子を追いかけて「ボンジョルノ(こんにちは)!今何時ですか?」とようやく声をかけたけれど、電話番号は聞けなかった……。父は1週間口をきいてくれないくらい怒っていたね。

 ――「女性をみたらナンパする」と言われるのは、本当ですか?

 ジローラモ)それはちょっと違って、正しくは「声をかける」かな。その違いは、ナンパは直接的でガツガツしたイメージだけど、声をかけるほうは「はじめの一歩」。まずはおしゃべりをして、そこから仲良くなれるか見きわめていく感じだと思う。あんまり違わない? 声をかけるのは、恋愛はさておき、知り合いや友達が増えたらいいなと思っているだけなんだよ。でも、そうして女性と話すことが増えれば、自然と女性に慣れてくるかもしれないね。「こういうふうに話すとうれしいんだな」とか、「これは相手をイラつかせてしまうんだな」とか、ちょっとずつ分かってくる気がする。

 それでも、女ごころは変わりやすくて「女性って難しい」と思うことばかりだし、ホンネは理解しにくい。イタリアには「結婚はスイカみたいなもの。白が出るか、赤が出るか、割ってみないと分からない」という歌があって、恋愛も同じだと思う。「おいしい!」と感激できれば、とってもハッピーだよね。だから試してみる価値があると思うよ。

  • 「笑顔の似合う人のほうが、確実に人に話しかけられやすい。そしてそれは、チャンスが舞い込んでくる可能性も高いということだと思う」
    「笑顔の似合う人のほうが、確実に人に話しかけられやすい。そしてそれは、チャンスが舞い込んでくる可能性も高いということだと思う」

 ――ジローラモさんは「ちょいワルおやじ」とも呼ばれ、「陽気でおしゃれなイタリア人」というイメージです。「恥ずかしがり屋だった」そうですが、それも意外な感じです。

 ジローラモ)私は小さな頃から鼻の形が大きいのがコンプレックスで、嫌でたまらなかったんだ。他の人からみたら大したことじゃないかもしれないけど、本人にとっては気になって仕方ないことってあるよね? 私はイギリスに留学して、慣れない英語でコミュニケーションをとって、家事もすべて自分でやって――と頑張った。留学を終えて帰ってきたらガールフレンドに「格好良くなったね」って言われて、それがきっかけで、少しずつ自信を持てるようになったかな。

 コンプレックスを解消するには、「自分のことを認める」ことが大切。悩んでいても鼻の形が変わるわけじゃないし、認めてしまえばチャームポイントになるよ。イタリアでは「ヴァニタ(うぬぼれ)」があることは、必ずしも悪いことじゃないと考えられているし、少しぐらい自分のことを自慢する気持ちがないと楽しく生きられないでしょう。「プライド」とちょっと似ているかな。

 ――逆に、小さいころから大切にしていることは?

 ジローラモ)笑顔だね。「キミは笑った顔がかわいい。だからずっと笑っているようにしなさい」と、子どものころに教会の神父さまに言われたことがあった。それからしばらくはその言葉のことを忘れていたんだけれど、高校時代に数学を教えてくれていた恩師・パルンボ先生が「人生、笑顔がいちばん。笑顔があれば、すべてのことは解決するんだから。笑顔は人生のパスポートなり!」と豪快に笑ってみせてくれた。

 それから言葉も不慣れな日本で暮らすようになって、なかなか思いが伝わらないことも多かったけど、今はやっぱり、先生の言葉は真実だったって思うよ。仕事でも人間関係でも、物事をスムーズに運ぶうえで、笑顔はすごく大切。絶対に得をすると思うな。

 ――「人と会ったり、話したりするのが苦手」と悩んだことはありますか? 発言小町には「なぜだか分からないけど友達ができにくい」という相談もあります。

 ジローラモ)やっぱりまずは、自分の笑顔をチェックしてみることをおススメします。あと、人と会うのが苦手という人は、「人に嫌われたくない」という気持ちが強いのかもしれないね。「嫌われるようなことを言ったらどうしよう」と不安な気持ちが先行してしまうんじゃないかな。一度や二度の失敗はあるもの。相手のことを大切に思う気持ちを持って、まずは「ほめる」ことから始めてみてはどうでしょう。バッグでも靴でも、何でもいいと思います。あっ、でも、本当にあなたが「いいな」と思っていないと説得力に欠けますよ!ご注意を。(文・内田淑子、写真・高梨義之)

プロフィル

Panzetta Girolamo(パンツェッタ・ジローラモ) 1962年、イタリア・ナポリの建築一家に生まれる。ナポリ建築大学在学中に亡き父の後を継ぎ、歴史的建造物の修復などを手掛けた。ファッション関係の仕事を経て、1988年に来日。家庭料理やワイン、サッカーに詳しく、テレビや雑誌などでモデル、コメンテーターを務める。2006年にはイタリアから騎士の称号「カバリエレ~イタリア連帯の星勲章」を贈られた。著書に「イタリア人式楽観思考法」(アスコム)、「ジロスタイル」(大和書房)など。