私の「発言」

(2)ネットを活用すればムダなく生きられるか?…パンツェッタ・ジローラモさん

  • 「何でも初めは思いこみを疑ってかかったほうがいいね。会ってみたらいい人だったとか、食べてみたらおいしかったとか、そんな経験あるでしょう」と話すジローラモさん
    「何でも初めは思いこみを疑ってかかったほうがいいね。会ってみたらいい人だったとか、食べてみたらおいしかったとか、そんな経験あるでしょう」と話すジローラモさん

 ――ジローラモさんは、雑誌「LEON」(主婦と生活社)のサイトでブログ「パンツェッタ・ジローラモのちょい不良(ワル)日記」を書いていらっしゃいますね。

 ジローラモ)イタリアで泊まったホテルや、ほしいバイクのこと、畑仕事のこと……何を書くか考えるのも楽しいです。フェイスブックもやっているけど、いちばん読んでいてつまらないのは自慢話だと思うので、そういう話は書かないようにしています。自分が行ったパーティーに、こんな有名人が来ていたなんて、興味ないでしょう? みなさんは読みたい?

誰かの体験をなぞるばかりじゃつまらない

 ――イタリアでもフェイスブックなどのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)は盛んですか?

 ジローラモ)やっている人はすごく多いね。出会い系なんです。

 ――ええっ!? それは大丈夫なんですか?

 ジローラモ)出会い系といってもエッチなのじゃなくて、本当に知り合いになるんです。職場や学校など身近なところで仲間をつくれないという人や、「会社じゃないところで仲間をつくりたい!」という人には、今の時代は本当に便利だよね。ネットだけのつながりじゃなくて、「今度会おう」というのがイタリアでのSNSの主流で、姉のところの男の子なんて、SNSで知り合った友人の家にいきなり泊まりに行っていたよ。SNSでの新しい出会いが、仕事のきっかけになることも多いと聞くし、うまく使いこなすのはこれからの時代に必要なスキルなんだろうね。

 ――インターネットはよく使いますか?

 ジローラモ)もちろん。イタリア語の本を買ったり、ホテルを予約したりするのはとても便利になったね。ただ、ネットの情報だけでは信用できないし、ネットに載っているものは常に古くなっていくと思っているよ。

 私は旅が大好きなんだけど、こんなことがあったんだ。英国を旅行したときなんだけど、最初の夜に泊まるホテルを空港のインフォメーションで予約しただけで、あとは行き当たりばったり。格安で赤いフォルクスワーゲンの車を借りて、それを運転して女王陛下のお気に入りだったという城や、本屋ばかりがたくさんある街など、予定も決めずに走り回った。

 日本に帰ってから代表的なガイドブックを全部読んでみて、自分が回ったところを確認しようとしたところ、私が行ったところはどの本にも出ていなかったんだ。どの場所もあんなにワクワクしたのに……と驚いたよ。もし先にガイドブックを読んで旅行の予定を立てていたら、すてきな光景に出合えなかったかもしれない。情報を検索して、だれかの体験をなぞるばかりじゃつまらないよ。

 ――ネットで先に調べておけば、ムダなく時間を使えることもありそうです。

 ジローラモ)そうだね。電車の乗り換えを調べておいたりするのは、確かに便利だよね。日本はちゃんと時刻表通りに電車が来るからね。でも、先ほどのガイドブックの例じゃないけど、ネットで調べきれない面白い情報が実際にはたくさんあるよ。それに実際の暮らしのなかでは、「ネットで調べたのと違う」ことだっていっぱいあって、それに臨機応変に対応するには、ネットに頼ってばかりいたらできなくなるんじゃないかな。ムダを楽しむのも大切なことだよ。

言葉巧みならペテン師にも

  • 「特別にキザなことを書こうと思わなくても大丈夫」
    「特別にキザなことを書こうと思わなくても大丈夫」

 ――ネットの活用といえば、いまは仕事でもプライベートでも、メールでやり取りをすることが増えました。ジローラモさんはメールと電話は、どう使い分けていますか?

 ジローラモ)私は圧倒的に電話派です。電話のほうがきちんとこちらの意図が伝わるように思うし、誤解されることが少ないような気がするからね。誤解されてトラブルになると、それをフォローするのは、電話をかけておく手間より何倍も面倒くさいでしょう。

 メールは相手のリアクションを気にしないで用件を伝えておくことができるし、気が楽な面もあるとは思うけど、メールって文章を書くのがうまい人とそうじゃない人にハッキリと分かれてしまうよね。言葉巧みな人なら、ペテン師になれる。メールの文面から受けた印象と、実際に会った時の印象が随分違う人もいて、メールだけじゃやっぱりわからないなと思うんです。

 ――メールでのやり取りが増えると、新しいマナーを身に付けることも必要になりますよね。例えば、絵文字をちりばめないと「そっけない」と思われたり……。

 ジローラモ)そうですね。マナーを知っておくことは大事だね。それを知ったうえで崩していって、初めて「自分のスタイル」って言えると思うよ。ファッションでも同じかな。あと、男性が恋人に送るメールでそっけないと言われて悩んでいるなら、事実を書くだけじゃなくて自分の気持ちを加えるのがおススメです。「ナポリのピッツァがおいしい」とだけ書くんじゃなくて、「ナポリのおいしいピッツァを食べて、一緒に行ったレストランにまた行きたくなった」とか……ほら、ずいぶん変わるんじゃないかな。きっと彼女からのリアクションも違うはずだよ。

プロフィル

Panzetta Girolamo(パンツェッタ・ジローラモ) 1962年、イタリア・ナポリの建築一家に生まれる。ナポリ建築大学在学中に亡き父の後を継ぎ、歴史的建造物の修復などを手掛けた。ファッション関係の仕事を経て、1988年に来日。家庭料理やワイン、サッカーに詳しく、テレビや雑誌などでモデル、コメンテーターを務める。2006年にはイタリアから騎士の称号「カバリエレ~イタリア連帯の星勲章」を贈られた。著書に「イタリア人式楽観思考法」(アスコム)、「ジロスタイル」(大和書房)など。