私の「発言」

(1)ほしくないプレゼントをもらったら…パンツェッタ・ジローラモさん

  • 「女性は本心がなかなかつかめない。だからこそ、理解できるとうれしいね」と話すジローラモさん
    「女性は本心がなかなかつかめない。だからこそ、理解できるとうれしいね」と話すジローラモさん

 「いくつになってもおしゃれを楽しみ、女性にモテそう」――そんなイメージのパンツェッタ・ジローラモさん。

 来日して25年あまり、すっかり日本通のイタリア人の目に、掲示板「発言小町」はどう映るのでしょうか? 「ちょいワルおやじ」が、女性たちの悩みに答えてくれました。

ちょっと怖い…女性のホンネ

 ――掲示板「発言小町」には、恋愛や友人関係、仕事のこと、身近な疑問など、ありとあらゆるお悩みや相談が投稿され、それに対してホンネの回答が寄せられています。イタリアにも、こんな掲示板はありますか?

 ジローラモ)掲示板はあります。病気の症状について相談すると専門家が答えてくれるような医療系などは、多くの人が使っているんじゃないかな。でも、こんなにいろいろなテーマの相談が寄せられて、それに対して一般の人がたくさん回答を書き込んでくれるのは珍しいかもしれない。

 きれいごとばかりじゃなくて、匿名だから正直な意見が聞けそうだね。友達に悩みを相談するときは、相談する側もプライドがあってあまり正直に聞けないことだってあるだろうし、友達のアドバイスより素直に言われたことを守るかもしれない。でも、女の人のホンネって、聞いてみたいけれど、ちょっと怖い気もするね。

 ――「発言小町」でよくある相談の一つが、いわゆる「嫁しゅうとめ問題」。イタリアでは「ママ」の存在が大きいイメージがありますが、お嫁さんが、夫のお母さんとのお付き合いに苦労するのは、イタリアでも共通ですか?

 ジローラモ)そうですね。私の両親はフーガ・ダモーレ、駆け落ちをして結婚したんです。母は田舎の小さな町で育ったんですが、祖父はとても厳しくて、「おまえの結婚相手はワシが決める」と言って勝手に婚約相手を決めてきたんだ。でも、母は祖母と相談して駆け落ちを決行したんだって。だから母は、結構、義理のお父さん、お母さんにはかわいがってもらっていたんじゃないかな。

 結婚すると二人はもともとの家を出て、新しい家に住む。親とは別々に暮らすのが当たり前。ただ、私の姉はいまだに母とよくケンカをしているみたいで、兄から「どうしたもんかね」と電話がかかってきたりするね。

 ――家族のつながりは強そうですが。

 ジローラモ)そう。結婚して別々に暮らしても、日曜にはみんな集まってご飯を食べます。私は昔、「ジローさんってマザコンなの?」と言われたことがあるけど、たまにしか実家に帰れないから、母と過ごす時間を長く持ちたいと思った。日本人は里帰りしても、地元の友達と飲みに行ったり出かけたりして、あまり家にはいないみたいだね。もちろん友達も大事だけど、まずは家族かな。家族を大事にできない人を、あなたは恋人や友人にしたい?

プレゼントは贈る側が選ぶもの

  • 「プレゼントにはサプライズも大切」
    「プレゼントにはサプライズも大切」

 ――ジローラモさんのお姉さんは、お母さんとどんなことでケンカをされるんですか?

 ジローラモ)いらないものを贈ってくるとか、些細(ささい)なことだよ。兄とは、「お互いに大人になってよ」と言い合っているんだ。

 ――なるほど。「発言小町」でも、不要なプレゼントについての相談はよくあります。

 ジローラモ)贈り物は難しいよね。日本の女の人はよく、誕生日とか記念日のプレゼントを「一緒に買いに行こう」って言うでしょう。あれはびっくりしたよ。プレゼントは贈る側の気持ちを表すものだから、何も知らせないで用意したい。あげる側が選ぶべきだと思う。もらう側が選ぶなんて、「お金だけ出して」というのと同じで、ちょっと悲しいよね。

 ――相手が喜ぶものを選ぶコツは?

 ジローラモ)やっぱり相手の好みを事前にリサーチするしかないかな。あまり細かく聞きすぎるのもダメだけど……。あとは相手に主導権を握らせないようにして、それを選んだ理由をきちんと説明できるようにするといいと思う。例えばブランドのことや、素材のことなど。

 ディナーのお店を選ぶのも同じで、「絶対に高級フレンチに行きたい」と思っている女性を、それほど高くないけどおいしい居酒屋に連れて行ったとしましょう。選んだ側は「そのお店のいいところ」を説明しなきゃいけない。彼女の郷土料理が食べられるとか、新鮮な魚が食べられるとか。新しい価値観を共有できるようになるのは、とてもいいことだと思うよ。

 料理も事前に調べてチョイスできるようにしておかないと、値段だけを見てお酒を決めたり、料理を選んだりする女性もいるよね。うまく男性がリードできなくて、「どう考えても食べきれないだろう」というほど頼んでいた女性を見たことがあるけど、食べ残しの皿がテーブルに並んでいたのは、見ていて痛々しかったね……。

 ――それでも、やっぱり「好みじゃない」ものをプレゼントされたら、女性はどうするのがスマートでしょう?

 ジローラモ)特に日本人の女性は我慢したり、遠慮したりして、それはそれでとても美しいと思うんだけど、正直に伝えないと、贈る側は「喜んでもらえた」と勘違いしてまた同じようなものを選んでしまうかもしれないよね。だからハッキリ言うことも大事です。誤解とストレスは、どんどんお互いを増幅させてしまうよ。実は私もある有名ブランドのバッグをプレゼントしたのに、1週間後に「いりません」と返されたことがあって……あれはちょっとショックだったな。

 まあ、贈り物をする人は、相手を喜ばせたいという思いがもともとある人なんだから、その人の好意にはじゅうぶん感謝しつつ、うまく伝えられるといいね。

 ――返すのは勇気がいりますね。正直に「これは好みじゃない」と伝えにくい場合、言い訳を探すのが難しいですね。

 ジローラモ)少しくらいのうそは必要かもしれないね。うそはつかないに越したことはないけど、バレないうそなら必要なこともあると思う。恋愛でも、真実を打ち明けたほうは「良心の呵責(かしゃく)から解放されてスッキリ!」ということでも、聞かされたほうはモヤモヤした気持ちを抱えてしまうようなことがあるでしょう。日本語でも「うそも方便」というみたいに、相手が本当のことを知ってハッピーかを基準に行動するのも大切だと思うよ。自分に都合が良すぎるかな?

プロフィル

Panzetta Girolamo(パンツェッタ・ジローラモ) 1962年、イタリア・ナポリの建築一家に生まれる。ナポリ建築大学在学中に亡き父の後を継ぎ、歴史的建造物の修復などを手掛けた。ファッション関係の仕事を経て、1988年に来日。家庭料理やワイン、サッカーに詳しく、テレビや雑誌などでモデル、コメンテーターを務める。2006年にはイタリアから騎士の称号「カバリエレ~イタリア連帯の星勲章」を贈られた。著書に「イタリア人式楽観思考法」(アスコム)、「ジロスタイル」(大和書房)など。