私の「発言」

(2)アナログとデジタルをバランスよく…映画監督・TORICOさん

 ――クリエイター集団『血ユリ団』の団長とうかがいました。どういう活動をしているのですか?

 TORICO) 普段はバラバラに活動しているけど、年に何度か集まって、パフォーマンスやライブをしています。アーテイストは内にこもるタイプが多いので、私の仕事はいろいろな組み合わせを考えて、みんなを“つなげる”ことかな。もともと「血ユリ団」は昭和初期に実在したギャング団で、当時の流行や文化に影響を与えていたものです。クリエイターを中心に「血ユリ団」を復活させて、新しい流行や文化を創り出す……というのがコンセプトですが、昭和初期を懐古する集団ではありません。昔の生活に回帰するつもりもないし、便利なものは便利な方がいい。でも便利すぎる世の中はつまらない。無駄が楽しいアナログに、便利なデジタルを融合させたら、面白いものが生まれるんじゃなかと思って。

 ――「発言小町」にもアナログ+デジタルの側面があるように思えます。いかがでしょうか?

 TORICO) そうですね。いまはリアルなご近所とのつながりが薄くなっているじゃないですか。「発言小町」はインターネットというデジタルな「場」で、アナログチックな「井戸端会議」が展開している。いろんな話題があふれていて混沌(こんとん)としている。その混沌の中から必要な情報を探し出す楽しさもあります。

 今の若い人って、情報はあふれているのに、経験値が低いから知らないことが多い。すぐに、「えー、それ知らなーい」って平気で言うでしょ。知らなければ自分で調べればいい。それでもわからなかったら、教えてもらえばいい。でも、教えてもらう人がいないんです。おせっかいな人が減っちゃったから。

 ――「発言小町」はおせっかいな人がいっぱい。

 TORICO) そうそう、他人のことなのにみんな親身になって答えてますよね。人と人とをつなげるコンテンツですね。ちょっと心配なのは、デジタル側に偏ることかな。家に閉じこもってパソコンに向かってばかりじゃ、ホンモノのコミュニケーションは取れないでしょう? ブログもツイッターもいいけど、人とは直接触れあわないとダメだと思います。メールのやりとりやラインだけじゃコミュニケーションとはいえない。ネットでつながってるから、会わなくてもいい――というのはどうなんだろう。そこは、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の悪いところでもありますよね。「発言小町」で元気をもらったら、積極的に外の世界に出かけて、人と触れあってほしいな。アナログとデジタルをバランスよく生活に取り入れるのが大事だと思います。

プロフィル

TORICO(トリコ)映画監督。クリエイター集団「血ユリ団」団長。2004年、短編映画「ミガカガミ」で監督・脚本・主演をつとめ、注目を集める。同作品はカナダ・モントリールを始めとする7か国11か所の映画祭に招待上映され、国内映画祭で準グランプリ受賞。06年、初劇場映画「イケルシニバナ」を公開。13年、アートユニット「明和電機」が立ち上げた初のファッションブランド「Meewee Dinkee(ミーウィーディンキー)」にトータルディレクター&デザイナーとして参加。ファッションブロガーとしても活動中。著書に「不思議ノ国ノ」(書苑新社)。