私の「発言」

(1)ネット上の批判 「落ち込み、泣いた」…首相夫人・安倍昭恵さん

 大手小町は、今年で15周年を迎えました。なかでも掲示板「発言小町」は、まだネットで様々な人たちが意見を交わす場が掲示板ぐらいしかなかった時代から、「女性の本音」が集まる場として、多くのユーザーにご利用いただいています。これからも、ずっと楽しんでいただける場とするため、大手小町編集部では、発言小町への共感や提言を様々な分野の方に聞いていきます。

 

 1回目は、首相夫人の安倍昭恵さん。会員制交流サイト「フェイスブック」を日々更新しつつ、「家庭内野党」の立場で、原子力政策や防潮堤計画などに対しても意見を述べる「発信力」のあるファーストレディーです。「発言する」ことへの思いをうかがいました。

批判コメントは「学びに」

 ―― 「発言小町」のようなネット掲示板の場での交流に、どういう印象を持っていますか。
 安倍昭恵さん) だれでも、普段、友達にも言えないようなことがあると思うので、こういう場があって、発散できるというのは悪いことではないと思います。友人から言葉をもらうのも大事かもしれないけれど、全然知らない人から意見をもらうと、「あ、そうだったんだ」と全然違う意識になることもあると思うので。

 ―― フェイスブックを実名で開いていますが、ネットの場での発言の怖さを感じたことはありますか。
 安倍) そうですね。批判的なコメントが入ることもありますので、それなりに注意しては書いているつもりです。ただ、私の場合は、批判コメントを消すこともしませんし、フルオープンにしていて、どなたでも見られるし、どなたでもコメントを入れられるようにしているんですね。ひどいコメントがあっても、逆にそれを排除しないほうが私はいいんじゃないかなと思っています。こんな意見の方もいらっしゃるのかなと、私自身も学ばせていただいていますし、批判も入れば、必ず応援メッセージも入ってきますので。

 ―― 言葉はストレートに人を傷つける怖さを持っています。実名で発言をし、それを受け止めているのは、かなりのストレスでは。
 安倍) 今、フェイスブックのコメントですごく落ち込むということはほとんどないですね。週刊誌もそうですが、特にネット上で自分に関してものすごいことが書いてあると、以前は「なんで全然知らない人にこんなことを言われなきゃいけないんだろうな」と落ち込むことはありました。ただ、自分がどれほどの人間かというのも分かっているので、自分の実力以上に持ち上げられるほうが怖いと思っているんです。だから、批判的なことを言ってくれる人たちは、自分の中ではバランスを取ってくれている人でもあると思っていました。

 ―― 落ち込んだときの気持ちの切り替えは?
 安倍) こういうことを言われるとこんな気持ちになるんだ、とわかったことは、私にとっては学びです。若い人、特に子どもたちの中には、そのことで傷つき、いじめられ、自殺してしまう人もいる。実際に自分も書かれてみないとその気持ちは分からないじゃないですか。そういう意味では学びになります。今はそれほど落ち込むことはなくなりましたけど、以前、ひどいことを書かれたのを見たときは落ち込みましたし、泣いていたこともあるし・・・。それをどうやって解消していたかって言われると、「うーん、どうだったんでしょう」って思いますね。

首相は「そんなの見るからいけないんだ」

 ―― 悪口を見ないようにしたりは?
 安倍) 主人(首相)に「ひどいことを書いている人がいる」というと、「そんなの見るからいけないんだ」って(笑)。いろんなことを言う人がいるし、その人たちが全部ではないので、見なきゃすむだけの話だと言われました。そうなんですが、私は、そのころ自分がどういう風に評価されているんだろうとすごく気になっていたので、つい見てしまっていました。今はほとんど自分から見にいくということはありませんが、フェイスブックについては、私宛てにくれたコメントなので全部読んでいます。

 ―― ネットのコミュニケ―ションについて心がけている点はありますか。
 安倍) フェイスブックについては、自分をよく見せようという戦略的なものではなくて、素のままの自分をなるべく出すようにしています。戦略的に書こうとしても長く続けるとつくっているのが見えて来てしまうと思うので、本当の私のやっていることをちょっと見てくださいという場にしたいなという風に思っています。あとは、フェイスブック上では、どんなことに対しても、批判的なことは書きません。なるべく前向きなことを書きたいという風に思っています。ただ、たまに「落ち込んでいます」みたいなことを書くと、すごくたくさんの人が「がんばって」というようなコメントを入れてくださるので、たまには書いていますね。それは戦略ではなくて、自分にもダメなところもあるけど、日々できることをやっているというところを分かっていただきたいので。批判もいただきますが、あまり気にせず。かなり最近は自分が「首相夫人」ということを忘れて生活しているので(笑)。

自分が見たこと これからも発信する

 ―― 原子力政策や防潮堤計画の見直しなどについて、自身の意見をはっきりと発言していますね。その一方で、首相夫人が政府の政策と反することを発言することに批判は多いと思います。なぜあえて「発言」し続けているのですか。
 安倍) 東日本大震災の被災地に何回も行く中で、いろいろな人たちの声を聞いてきました。大変な状況じゃないですか。一度、原発事故が起こってしまったら、こういうことになるんだと。やはり見たことを伝えたいと思っています。別に私は主人に言って政策を変えようとか、そういうことではないんです。私が感じていることを聞かれれば答えているだけなので。

 ―― ご自身の発言について、首相から「もう発言しないでくれ」と言われたことは?
 安倍) 特にないですね。むしろ逆に、主人が原発再稼働や原発輸出などを進める上で、私がそれに対する批判を薄める役割で発言しているのではないか、みたいなことを言っている人たちもいます。私の発言に対して、反原発派の人たちからは「もっと真剣にやれ」と言われるし、原発推進派の人たちからも批判されたりして、どっちからもいろんなことは言われてしまうのですが…。でも、主人は私がやっていることに対して何を言うわけではないですし、私なりの意見をこれからも発信していきたいと思っています。

 

プロフィル

安倍昭恵(あべ・あきえ) 首相夫人。東京都出身。聖心女子専門学校卒、立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科修了。電通勤務を経て、1987年に結婚。趣味はランニング、ゴルフ、米づくり、なぎなた

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