私の「発言」

(2)首相とは「絵文字入り」メールで…首相夫人・安倍昭恵さん

 ―― 発言小町では、夫婦間のけんかやすれ違いなどの悩みについて、多くの投稿が寄せられます。首相とけんかすることは。
 安倍) ほとんどないですね。でも、どこの家でもあると思いますが、多少言い争ったりすることはありますよ。ただ、それがずっといつまでも続くということはなく、なんとなくいつの間にか普通に戻っている感じです。二人で外に出なくてはいけない機会が割と多いので、そういうときはケンカしたままの雰囲気では出られず、一応、(仲良さそうに)装うわけじゃないですか。そのうちに忘れてしまう。

―― 装うところから、気持ちが落ち着いてくることもありますよね。
 安倍) そうですね。また、けんかをする要素があまりないのかもしれないですね。お互い勝手にしているので(笑)。あまり多くを求めないことが、夫婦においては仲良くずっと続く秘訣(ひけつ)なんじゃないかと思っています。主人も、結婚前は、「奥さんはこうあって欲しい」という夢があったかもしれないです。でも、どんな夫婦でも家族でも、全部自分の思い通りに相手がなるわけじゃない。こういうものなのだということを受け入れることが大事なのかなと思います。まあ、あきらめてくれているのだと思いますけど。

―― 激務の首相とコミュニケーションを取る上で、これだけは心がけているということはありますか。
 安倍) 特にないです。でも、主人のほうがすごくマメなんです。主人が単独で外遊することもあれば、私が一人で国内で移動してくることもある、という感じで、必ずしも毎日一緒にいるわけではないので、主人から電話をくれたり、メールをくれたりしています。私も、向こうは電話に出られないような状況も多いと思うので、何かあればメールを送っているので、結構メール交換はしています。主人は、絵文字好きなので、いっぱい絵文字が入ったメールをくれます。署名のところには、動く絵文字も入っているんですよ。

―― 首相が動く絵文字ですか。なんだか親近感がわきますね。
 安倍) 別に私とだけではなく、みんなにすごくマメなんですよね。主人はフェイスブックもだいたい自分で更新していますし、私のフェイスブックを見て、どこへ行っているか、何をしているか、というのをチェックしてくれています。私はどこへ行くと言っていないので、いったいどこにいるのかなと思っているのでしょう。

元気過ぎて落ち込ませたことも

 ―― 発言小町には、夫がリストラにあったり、病気になったりして、妻として自分はどうしたらいいのかと悩む投稿が増えていると感じます。首相も一度、健康問題で首相の職を辞し、新薬が発売されたことで病気を克服し、また首相になりましたが、そばで支えていた経験から、今悩んでいる人たちのヒントになるようなことはありますか。
 安倍) 人によって違うと思いますが、そういう時にあんまり先のことを言って、「がんばれ」と言ってもあせるだけなので…。うちの場合は、子どももいないし、二人で生きて行ければいいという感じでしたが、これからまだまだ子どもを大学にやらなきゃいけないとか、お金がかかるときに、ご主人が病気になったりして働けなくなるというのは、本当に不安だと思うんですよね。ついついそういうものを出してしまうと、ますますご主人は追いつめられてしまうと思うので、なるべく大変だとは思うんですけど、寄り添ってあげるということなんですかね。

―― 先々の心配もあるし、そばにいる人が一人で抱え込むには、大きな問題ですよね。
 安倍) いろいろなネットワークがあったり、病気への対応も、医療だけではなくいろいろな方法もあると思います。今はネットで情報も入りやすくなっていると思うので、情報収集をして、奥様自身も追いつめられないようにしていくのも大事なのかなと思います。

―― 首相が病気の時は、夫人の明るさがパワーになったのでは。
 安倍) 病気の時に夫を見ていて思ったんですけど、私が大きい声でげらげら笑っていたりすると、私だけが元気なので、落ち込んでしまうこともあるのではと。安倍の父(安倍晋太郎・元外相)もそうだったんですが、私は病室を明るくしようと思っていたのでケラケラ笑っていたんですけど、その笑い声が耳障りになってしまったこともあります。笑顔は人に喜びを与えるのだけど、過剰な元気さが必ずしも病気の人に元気を与えるかといったら、それはちょっと違うのかもしれないですね。

またチャレンジできる社会に

―― 一度失敗するとやり直せないと思うから、「がんばれ、がんばれ」という方向になってしまいますよね。
 安倍) 再チャレンジできる社会を、というのを主人自身が言っていて、それを実践していると言っています。病気だけではなくて、会社が倒産してしまうとか、いろいろな事情で大変な状況に置かれている人たちがいると思うのですが、あきらめずに、また次があるんだと思えるような社会にしていかなきゃいけないんだという風に思いますよね。日本は終身雇用が続いてきたので、新卒で入って、ずっと定年まで同じ会社というのが普通の姿だったと思うんですが、これからは変わってくるんじゃないかなと思いますね。

―― 新卒で入社する人の中には、次にステップアップすることを前提に、会社を選んでいる人も出てきています。
 安倍) それがいいのか悪いのか分かりません。会社に対する愛着というより、技術を何か身に着けるための選び方になると、働き方も変わってくるかもしれないですし、日本的なよさをそれで維持できるのかなという気もします。でも、やはりまたチャレンジできるというのは、重要なことだと思いますよね。一回外れちゃったらそれで人生終わりっていうのは本当にきついと思うので。

 

プロフィル

安倍昭恵(あべ・あきえ) 首相夫人。東京都出身。聖心女子専門学校卒、立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科修了。電通勤務を経て、1987年に結婚。趣味はランニング、ゴルフ、米づくり、なぎなた

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