スクールデイズ

「何かを仕掛けたい」気持ち…藤原和博さん

奈良市立一条高校長

  • 藤原和博さん
    藤原和博さん

 父は最高裁判所に勤める公務員、母は専業主婦の家庭に生まれ育ちました。野球、缶蹴り、木登りなどに夢中な子どもで、おやつを食べるのも忘れるほど。近所では「遊びの王者」と呼ばれていました。

 東京都立青山高校に入学した1971年は、学生運動がまだ盛んだった時期。僕たちは放任され、とにかく自由でした。バンド仲間と一緒に買った楽器を教室に持ち込み、放課後に大音量で練習しても怒られなかった。バスケットボールの部活動でも青春を謳歌おうかしました。

 文化祭では、クラスで演劇を上演し、台本選びから演出を担当。青山通りのブティックで譲ってもらったファッションブランドのポスターを販売し、演劇の打ち上げにあてた思い出もあります。

 高校3年になると、大学の医学部・工学部に進むクラスに入りました。友人に誘われるまま選んだのですが、物理や化学が苦手で、理系向きでないことがわかりました。

 先生に申し出たところ、「授業中に違う勉強をしていい」との返事。そこで、同じクラスのまま、文系の受験科目に沿った「カリキュラム」を自分で考えて勉強し、東大に進学しました。

 大学を卒業後、まだ無名だったリクルートに入社しました。40歳で退社後、教育関係の仕事をしていたとき、東京都杉並区教育委員会のアドバイザーとして教育改革にかかわったのがきっかけで、47歳の時、杉並区立和田中学校の校長になりました。

 赴任後、「校長室を開放する」と宣言しました。校長室は、悪さをしないかぎり行かない場所で、いつも扉が閉まっている。自分が学校に通っていたときに抱いていたそんなイメージを払拭しようと、扉を開けっ放しにし、生徒たちがマンガなどを読みながら自由に話ができる場所にしたのです。

 「何かを仕掛けたい」という気持ちは学校時代に芽生え、社会に出た後、「学校だって変わるはず」になりました。自分で考え、意見を言い、人を動かす若者を育てる取り組みにつながっています。(聞き手・石井正博)

プロフィル
ふじはら・かずひろ
 1955年、東京生まれ。東大経済学部卒。リクルート勤務を経て、東京の公立小中学校で初の民間人校長に。外部講師から社会の仕組みを学ぶ「よのなか科」などで注目された。昨年から奈良市立一条高校長。「10年後、君に仕事はあるのか?」など著書多数。

 (2017年3月16日付読売新聞朝刊掲載)