学校 モノ・風景

夏休みの朝 集まり運動…ラジオ体操

読売新聞教育部 石塚公康
  • ラジオの放送に合わせて体操をする児童ら(1日、東京都墨田区立柳島小学校で)
    ラジオの放送に合わせて体操をする児童ら(1日、東京都墨田区立柳島小学校で)

 「夏休みになると、早起きして近所の子どもたちとラジオ体操をしました。出席カードに判子を押してもらえるのが楽しみでした」。群馬県高崎市の関澄夫さん(68)が小学校の頃の思い出をメールで送ってくれた。

 ラジオ体操は昭和初期の1928年、当時の逓信省などが音頭を取って作られた。正式名は「国民保健体操」だったが、この年、音楽に合わせて号令をかける放送が始まり、「ラジオ体操」と呼ばれた。

 30年7月には、東京・神田万世橋署の警察官が地元の子どもらを集めて、ラジオ体操会を開催。夏休みで緩みがちな子どもたちの生活を引き締めることなどが狙いだった。以後、体操会は各地に広まり、町会などで校庭や寺社の境内に集まって開くようになったという。

 戦後、放送は一時中断されたが、51年に今のラジオ体操第一ができて再開し、翌52年には第二ができた。伴奏は明るく軽快で、運動会などでラジオ体操をしている学校は今も多い。

 しかし、最近は少子化で体操会に子どもが集まらず、廃止した地域も少なくない。2015年のベネッセコーポレーションの調査では、夏休みに体操会に参加した小学生は56%。このうち7割は日数が2週間以内だ。また、正しい動作ができない子どもも増えているという。

 「ラジオ体操の誕生」の著書がある関西大学の黒田勇教授は「これまで子どもに規律的な生活をさせたい親のニーズが体操会を支えてきた側面があった。各家庭の生活パターンが異なる今、一律に早起きして参加する意義は薄らいでいる」とみる。

 一方で、健康維持のためラジオ体操を始める高齢者は増え、全国ラジオ体操連盟によると、愛好者は約700万人。住民間のつながりの強化を目指し、体操会を始めた地域もある。

 東京都墨田区立柳島小学校では今月1日、学区内の全町会合同の体操会が開かれ、約500人が参加した。行事は約15年前にいったん途絶えたが、PTAが中心となって復活させた。5年生の橋本優二郎君(10)は「いろんな町の人とにぎやかに体操ができて楽しい。来年も来たい」と喜んでいた。(石塚公康)

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