熊本の仮設住宅で運動教室

立命館大3年 嶋晴菜(せいな)さん 20

被災者の健康維持

 熊本地震の被災者を支援しようと、毎月、熊本県西原村の仮設住宅を仲間25人と交代で訪れ、運動教室を開くボランティア活動に打ち込んでいる。仮設住宅では約800人が暮らすが、お年寄りが目立つ。自室にこもりがちなため、体を動かすことで健康を維持してもらうのが狙いだ。

 「ゴムバンドを使った筋力トレーニングや、参加者の自己紹介を兼ねた頭の体操など、約2時間のメニューを自分たちで考案しました。『楽しい』と言ってもらえ、やりがいを感じます」

 立命館大のスポーツ健康科学部で、運動と老化防止の関連などを学んでいるが、昨春、熊本地震が発生。「自分たちの知識が生かせるのでは」と、支援のための学生団体「KS1」を結成した。団体名に「熊本をスポーツの力で一つに」との思いを込めた。

居場所作りに一役

 10月、初めて同村の仮設住宅を訪れたが、教室に集まったのは11人。戸別訪問して参加を呼びかけても、拒む住民もいた。「呼びかけるだけではダメだ。会話が続くように、もっと地元について知らないと」。大学に戻り、仲間で熊本県の特産品や歴史を調べて発表し合い、話題を蓄えた。

 その成果が表れ、教室の回数を重ねるごとに住民と会話が弾んでいった。「サツマイモがおいしいですね」「こっちでは唐芋からいもって言うばい」。やがて、「外出がおっくうだ」などと、悩みも打ち明けてもらえるようになった。

 「教室で知り合った被災者同士が仲良くなり、笑顔で帰って行く。最近は幼児や高校生も顔を出してくれ、活動を続けていて良かったと思います」

都市出身。子供の頃からテニスを続けてきた。将来はテニススクールを経営するのが夢だ。

 「被災地での活動を通じ、世代を超えた住民の居場所作りにも一役買えました。テニススクールも、子供から大人まで気軽に交流できる場にしたいですね」(児玉圭太)

学生ボランティア広がる

 大学生によるボランティア活動は、2011年に起きた東日本大震災などをきっかけに広がってきた。内閣府の2016年度の「市民の社会貢献に関する実態調査」によると、回答した学生の21.9%に、活動に参加した経験があった。こうした学生をサポートする部署を設け、活動を後押ししている大学も多い。民間団体「被災地NGO恊働きょうどうセンター」(神戸市)の顧問、村井雅清さん(66)は「出会いや学び、感謝される喜びなど、学生が活動で得たものは将来の財産になる。経験は社会に出た後も役立つ」と話している。

 熊本地震 2016年4月、熊本県で震度7の揺れを2回観測した地震で、犠牲者は同県や大分県で237人(関連死を含む)に上る。現在も、自宅が倒壊するなどした被災者約4万5000人が仮設住宅や、賃貸住宅を借り上げた「みなし仮設」で暮らし続けている。このため、高齢者の健康維持などが課題となっている。