宇宙開発 保険で支える

三井住友海上火災保険 正木勝也さん 26

1件数百億円

  • 「衛星が無事に打ち上げられるかなどのリスクを確認するのが仕事です」と話す正木さん(東京都千代田区で)=栗原怜里撮影
    「衛星が無事に打ち上げられるかなどのリスクを確認するのが仕事です」と話す正木さん(東京都千代田区で)=栗原怜里撮影

 人工衛星の打ち上げ失敗や故障に備えた「宇宙保険」を担当する。加入するのは通信事業を行う民間企業など。「衛星によって任務が異なるので同じ保険商品はない。完全にオーダーメイドです」と説明する。

 打ち上げから衛星の稼働まで「宇宙空間での安定性」を設計書を見るなどしてチェックし、保険金額を決め、契約を結ぶ。保険金額は1件で200億~300億円にも及び、重い責任を担う。

 2016年に入社。大学は農学部で、大学院に進学し土壌中の微生物の研究をしていた。だが「研究職は短期間で成果が見えず性に合わない」と民間企業への就職活動を始めた。

 金融や商社、メーカーの営業職などを志望し20社ほどに応募。金融会社に勤める父親に決算書などの読み方を教わり、財務情報も読み込んで志望企業を絞り込んだ。「志望動機もきちんとアピールできるようになりました」

未知の分野 日々挑戦

 面接では、学生時代に取り組んだラクロスでチーム作りの重要性や戦術の立て方を磨いてきたとアピール。3社から内定を得たが、「自分の長所を認め、将来の不安にも向き合ってくれた」三井住友海上火災保険を選んだ。

 入社後は自動車保険や火災保険を扱う仕事をすると思ったが、宇宙保険の担当になり「驚いた」と振り返る。

 専門的な知識が必要な上、海外の事業者も多く、文化の違いに戸惑うこともあった。「未知の分野ばかりで内容を理解するだけでも大変。でも、日々新しいことに挑戦できるのが面白く、契約が締結できたときには、大きなやりがいを感じます」

 人工衛星に関する新技術やサービスの情報には日々、目を光らせる。顧客企業らと、わかりやすいやりとりをする努力も欠かさない。「世界的な成果を残す仕事のお手伝いができるのはうれしい。社会人としてステップアップしながら、顧客に寄り添った商品提案をしたい」と意気込む。(佐藤寛之)

宇宙保険

 人工衛星打ち上げなどの宇宙開発の際に加入する損害保険。データ収集を行う超小型衛星の打ち上げなど宇宙産業の市場が拡大する中、衛星を打ち上げる事業者に保険の加入を義務付ける法律も昨年成立し、需要増が期待されている。

内定までの軌跡

2014年 夏 コンサルタント会社などのインターンシップ(就業体験)に参加
    12月 自己分析などを進める
  15年 春 金融や商社など、約20社に応募
     8月 三つの内定先から三井住友海上火災保険への入社を決める

三井住友海上火災保険

 1918年設立。本社は東京都千代田区。正味収入保険料1兆4696億円(2017年3月期)。従業員数1万4650人(17年3月)。来春の新卒採用予定者数は約530人。多様性を重視し、知的好奇心やチームワーク、誠実さに富んだ人材を求める。